董和先生に聴く
羊プラセンタについて(下)

聞き手・(株)人間医学社 大浦純孝 社長

大浦 前回は不妊症に対する「羊胎盤などの生薬」の効果について詳しく説明していただきました。その際に触れられなかった点があるということですが、まずその話からしていただきたいと思います。


男性不妊

董和 それは男性不妊についてです。近年は、不妊の原因が男性側にもかなりあるといわれており、造精(精子をつくる)能力に問題のある若い人が増えています。

大浦 そのようですね。不妊の原因の約半分は男性にある、という報告があります。
これは少し古い研究ですが、平成10年に日本不妊学会で森本義晴先生が発表されたものです。それによると、大阪の男性60人(平均年齢21歳)を対象に、 精子が正常であるか否かを調べられたのですが、なんと正常な精子を持っていたのはたった二人だったそうです。その食生活も同時に調べられていますが、約八 割の人がカップ麺やハンバーガーを常食していたということでした(平成22年7月号70頁に参考記事があります)。

董和 今の若い男性の食生活は当時とほとんど変わっていないように思います。

大浦 確かに。おそらく現在調べても、同じような結果になるでしょうね。

董和 漢方的に判断しますと、男性不妊の大部分は腎精不足と考えられます。現代医学では男性不妊の原因として、無精子症、乏精 子症、精子無力症、精子運動低下症などが挙げられています。こういった造精子障害や精子機能障害は漢方的にみると、いずれも腎精不足によるものと考えられ ます。

*腎精不足
腎の中に貯蔵される精気の不足で、生殖・成長発育の機能障害や、早期の老衰を起こす病的な変化。そのことで現われる小児の成長の遅れ、不妊症、健忘、耳鳴り、難聴、 腰や膝のだるさ、足の無力などを中心とする病症。


「鹿茸などの生薬」

大浦 腎精不足による男性不妊の改善にはどのようなものが役立つのですか。

董和 女性不妊と同じように「羊胎盤などの生薬」も役立つのですが、男性不妊の場合は「鹿茸などの生薬」の方がより効果的だと思います。

大浦 それはどうしてですか。

董和 「鹿茸などの生薬」には男性ホルモン作用がある鹿幼角や海馬など動植物性の生薬を組み合わせています。それによって強精・強壮の効果が高まり、男性不妊や精力低下の改善に有効です。その他に、病後の虚弱体質、老衰、腎虚による冷え症などにも用いられます。

大浦 男性不妊の原因は腎精不足の他に、どのようなことが考えられますか。

董和 他には精管通過障害や精管機能障害など副性器障害と呼ばれるものがあります。いずれも下腹部の瘀血が原因と考えられます。これに対しては女性の場合と同じように「野牡丹などの生薬」が適しています。これで瘀血を除き気血のめぐりを良くすることが大切です。


疲労回復・催乳作用

大浦 男性不妊も女性不妊と同じように考えるわけですね。では不妊症についてはこれくらいにして、次に、産後の疲れや乳汁分泌不足の人には「羊胎盤などの生薬」を使っていただくとよいと思うのですが、如何でしょうか。
それと言うのも、人間医学社ではかなり以前から産後や術後の疲労回復、さらには乳汁分泌不足に対して、胎盤エキス製剤の「ビタエックス」をお勧めして喜ばれていますが、「羊胎盤などの生薬」もそうした症状に有効と考えていいのですね。

董和 はい。ここに良い症例がありますから紹介したいと思います。これはある薬局の先生からいただいた症例です。
患者さんは三十歳代の女性で、華奢な方です。産後の疲れが激しく、授乳することがしんどく、お乳の出も悪いという悩みで相談に来られました。
その先生は、相談者が華奢な体で、お産に引きつづき寝不足、食事が不十分などの状況がつづいたため、気血の産生がうまくいかず、お乳を作る余力が無いことが原因して、お乳が出にくくなったのだと判断されました。
そこで、食事からの栄養を血肉やお乳に作りかえる働きの強い「羊胎盤などの生薬」を、朝と晩に一回六粒ずつ食べるように勧められました。すると、すぐにお乳の出が良くなり始め、一週間ほどで十分にお乳が出るようになり、大変喜ばれたそうです。

大浦 ビタエックスも乳汁分泌不足や産後の疲労回復に効果がありますが、「羊胎盤などの生薬」の効果の出る速さは、やはり大したものですね。

董和 はい。「羊胎盤などの生薬」は中成薬の一つである「亀鹿二仙膠」という処方を参考にして創りました。ちなみに、中成薬とは中医学で用いる漢方の処方を錠剤や丸薬、顆粒、シロップなど飲みやすい形にした薬のことです。


「砂漠人参」

大浦 日本では馴染みのない亀鹿二仙膠ですが、いったいどのような症状に用いるものなのですか。

董和 亀鹿二仙膠は鹿角、亀版、枸杞子、お種人参の四種類を弱火でゆっくり煎じるとゼラチン状態になります。このゼラチン状に なったものを毎日服用するのです。腎気衰弱、腰背疼痛、遺精、めまいといった腎精不足の症状に用いられます。「羊胎盤などの生薬」には亀鹿二仙膠に含まれ る枸杞子の代わりに、もつと補益力(五臓の機能を益す力)を高める目的で羊胎盤と管花肉蓯蓉(かんかにくじゅよう)を加えました。こうしたものは日本の漢 方ではほとんど使われていません。

大浦 腎精不足に対して枸杞子の代わりに、より効果の高い羊胎盤と管花肉蓯蓉を加えられたわけですね。ところで、管花肉蓯蓉というのは砂漠人参と呼ばれ、最近では健康食品としてよく見かけますが、その効果はどうなんでしょうか。

董和 管花肉蓯蓉はハマウツボ科の寄生植物です。タクラマカン砂漠などに自生する低潅木の御柳(ぎょりゅう)の根に寄生する大 型のキノコのような植物で、希少なものです。これは補腎陽、益精血、潤腸通便の効果があり、インポテンツ、足腰の無力、老人の腸燥便秘などによいとされて います。最近の研究では、性機能を向上させ、抗疲労作用や免疫機能増強作用が確認されています。また、老年性痴呆や老衰にも有効であると報告されていま す。

大浦 羊胎盤、鹿角、お種人参、管花肉蓯蓉、亀版という組み合わせになると、胃腸の弱い人には少し重い気がしますが、「羊胎盤などの生薬」はその点を考慮して青皮を加えられているわけですね。

董和 はい。健脾益気(胃腸を強くして気力を益す)作用のある青皮(オオベニ蜜柑の皮)を少量入れています。青皮があれば、脾胃運行を促進し、補腎精のゼラチンが吸収されやすくなります。


女性だけでなく男性にも

大浦 やはり、先生はよくよく考えて創られていますね。以前の対談の中で「羊胎盤などの生薬」は体を温め、補血作用が強く、慢 性病で体力が低下した人には好適な食品であると説明していただいたことがありますね。また「羊胎盤などの生薬」の製造にあたって、その参考とされた亀鹿二 仙膠との違いは、その補血作用にあるとのことですが、そういった意味では「羊胎盤などの生薬」は女性の病気に幅広く使え、多くの女性から好評を得ているの もよくわかります。

董和 女性の病気はほとんどが血の不足にあるとされていることからいっても、「羊胎盤などの生薬」は女性に対してとても良いも のだと考えています、だからといって男性が使えないというわけではありません。体力低下、老衰、インポテンツ、疲労回復、傷の修復などに役立ちます。ま た、抗ガン剤や放射線による副作用で貧血を起こし、免疫力が大きく低下したときにも補血作用が非常に強いことから、是非使っていただきたいと思っていま す。

大浦 そもそもプラセンタ(胎盤)は心筋、肝、腎、骨格筋、胃粘膜の血流を増加させる作用が動物実験でも確認されています。それによって酸素や栄養を体のすみずみまで行き渡らせ、造血細胞をはじめ個々の細胞の代謝を活発にすることが確認されています。
「羊胎盤などの生薬」は、プラセンタの中でも最も温める力の強い羊の胎盤を使用されており、それを補完する生薬を組み合わされていることから、プラセンタとしての多くの働きが遺憾なく発揮できるわけですね。
本日はどうもありがとうございました。

(了)   戻る