董和先生に聴く
大震災後の精神不安

聞き手・(株)人間医学社 大浦純孝 社長

大浦 今回の東日本大震災による被害は、未だに復旧の見通しがたっていません。あれだけ大きな地震だったので、その後もその余波ともいうべき地震が続き、東北地方、関東地方の方々は大きな不安に駆られ、今もそれが改善されていないようです。今回は、こうした事情に鑑み、精神不安を少しでも軽減するのに役立つ漢方治療を教えていただこうと思い、対談をお願いした次第です。

董和 本当に今回の大震災にはびっくりしました。テレビの映像を観るだけですが、地震の後の津波の凄まじさには、ただ茫然とするばかりでした。
亡くなられた方々の御冥福をお祈りしたいと思います。また被災された方たちの一日も早い復興を願っています。
このような大地震の後では余震が続くことによるめまいや動揺感、いつまた地震がくるかという不安感、さらには毎日放映される地震と津波のくり返される映像による精神的影響などがかなり出ているようです。

大浦 三月十一日の地震の時には、遠く離れたここ大阪でも横揺れがしばらく続きました。あの時は体が揺れを記憶しているのか、しばらく気持ち悪かったのを憶えています。大阪でも気分の悪さを感じたのですから、地震発生源の近くの東北、関東地方の人たちはもっと強烈に感じられたはずです。その後も余震が続いていますから、不安、緊張で体調を崩す人が多く出るのは当然だと思います。

董和 ええ。日本最大級の病院検索サイト、医薬品検索サイト、医療情報サイトを運営する総合医療メディア会社の(株)QLifeが「大震災の医療現場への影響(茨城県を除く関東地方一都五県)」の実態調査の結果を発表しています。茨城県を除く関東地方一都五県の医師252人の協力を得たそうです。

大浦 その結果はどうだったんですか。

董和 それによると、関東では直接大きな被害を受けていない地域でも、半数以上の医療現場で、患者に「震災で心因的な病状悪化」が見られることがわかったそうです。病状悪化は子供だけではなく、むしろ大人に認められ、それも女性と高齢者に多いとする医師が多数を占めたそうです。

大浦 どのような心因性症状が多いのですか。

董和 不眠、めまい、浮遊感、血圧上昇の順で多く、余震やTV映像がきっかけになった症例も多かったとのことです。中には、自殺傾向を示す、定期受診者の全員が血圧上昇、心不全が増悪して入院、といった報告もありました。


「南五加皮などの生薬」

大浦 これらの症状は自律神経の乱れによる症状ですね。不安とか緊張が続くことによって、交感神経が過剰に刺激されることで、副交感神経とのバランスが崩れたのでしょう。女性や高齢者は自律神経のバランスが乱れやすいことが「心因的な病状悪化」においても多数を占めているのだと思います。

董和 はい。緊張・不安というストレスが長く続く場合には副交感神経の働きが弱まります。こういう場合には副交感神経の働きを高めることによって自律神経のバランスをとることが大切だと考えます。その目的で創ったのが「南五加皮などの生薬」です。これはストレス、精神不安、恐怖症、憂ウツな気分にとても良いものです。また、パニック症状が出た時や、憂ウツな気分が晴れない時は、一粒ずつ口に含んで舐めていただくと、ずいぶんと症状が軽くなってきます。

大浦  人間医学社では、パニック症状が出た時には「ルミンA」を二粒、口に含んで舐めてもらうように勧めてきましたが、「南五加皮などの生薬」も同じように効果があるんですね。私は先生が創られた数多くの製品の中で、この「南五加皮などの生薬」のにおいが一番好きなんです。とくに食べることはないのですが、香りを嗅ぐだけで、なんだかそれだけで効くような気がするんです。

董和 そうですか。「南五加皮などの生薬」の主材は紅毛五加(こうもうごか)です。これはウコギ科の植物で、仲間は数種類あり、その中でも抗ストレス作用が一番強いものです。他にサフランとウコンなどから構成されていますが、これらにも抗ウツ作用があります。特にサフランは長期間服用すると「いつも喜びの心境をもたらしてくれる」という働きがあります。

大浦 他に抗ストレス作用のある生薬はありますか。

董和 「南五加皮などの生薬」のもう一つの主材である熊柳植物です。これも精神不安や憂ウツな気分に良い生薬です。
先ほど紹介しましたQLifeの実態調査でも、1/3の医療現場で向精神薬の処方が増えた患者さんがいるそうです。
その不安の原因としてあげられているのは、一位が余震が続く、二位が悲惨な映像でした。実体験がなくても、映像によって精神的影響を受けた患者さんも少なくないようです。また、放射能の不安で向精神薬の処方に至る症例も7%の医師において認められたそうです。さらには、42%の医師が「今後、自分の患者さんのなかでPTSDを生じる人がいる」と予想しているとの報告でした。


「カギカズラなどの生薬」

大浦 精神不安に対する第一選択は「南五加皮などの生薬」ということですね。先ほどの“心因的な症状悪化”にみられる症状の中のめまい、浮遊感、血圧上昇には「南五加皮などの生薬」だけで効果があるのでしょうか。

董和 いいえ。ストレスによるこれらの症状は、漢方的には内風(体内に風が舞うような状態)、肝風(肝の機能失調で起こる風)の病証に相当します。そこで内風を平熄(抑える)し、肝陽を平定する働きのある「カギカズラなどの生薬」を組み合わされることをお勧めします。

大浦 それはどうしてでしょうか。

董和 「カギカズラなどの生薬」の主材であるカギカズラの葉と白僵蚕(菌に感染して死んだカイコ)は、平肝熄風(内風によって起こるめまいやけいれんを抑える) の効能のある生薬に属するものです。この二つの生薬は、肝の陽気が盛んになるために現われる動揺不定の病証を改善する働きが強いからです。

大浦 つまり、動揺不定の病証である精神不安、不眠、めまい、恐怖感、パニック症状など様々なストレス障害に対しては「南五加皮などの生薬」と「カギカズラなどの生薬」の組み合わせが勧められるわけですね。

董和 そうです。精神科医の冨高辰一郎氏は「避難生活を送っている患者さんの不安や不眠に対して睡眠薬や精神安定薬を処方する場合は、十分注意する必要がある。
精神科薬によって静脈血栓症(エコノミークラス症候群)のリスクが上昇すると報告されている」と述べられています。その点、「南五加皮などの生薬」や「カギカズラなどの生薬」には静脈血栓症を引き起こすような副作用がないということは、強調しておきたいと思います。

大浦 むしろ「南五加皮などの生薬」に含まれるサフランや熊柳には血流改善作用があるわけですから、理想的なストレス対策製品ということができますね。
本日はどうもありがとうございました。
(了)
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