董和先生に聴く
灯盞花植物のおはなし
聞き手:大浦純孝 社長

大浦 昨年、先生はまた「灯盞(とうさんか)」という薬草が主材の新しい健康食品を創られました。今回はそれについてうかがおうと思います。

董和
  中国の雲南省には、田七人参と同じように血管の梗塞性疾患に人気を呼んでいる「灯盞細辛」という菊科の植物があります。これには「灯盞花」「東菊」などの別名もありますが、中国では心筋梗塞、脳梗塞、さらに脳卒中の後遺症に「血液のつまりを取り除き、血行を改善する」として有名な生薬です。これのエキスは医薬品にもなっています。
昨年の五月、私は雲南省にある高山の現地におもむき、これを採集してきました。灯盞細辛はその名のごとく、生の葉を噛むと唐辛子のような辛みがあります。辛温性(辛く体を温める性質)が強い植物で、鼻風邪や風寒型風邪などに風邪薬として利用されています。

大浦
 どのように用いるのですか。


董和
 雲南省の民間療法では、灯盞細辛は鶏卵と一緒に煎じて食べています。 灯盞細辛だけを食べると口がカサカサして、ノドが非常に渇きます。しかし鶏卵には滋養陰血・つまり体をうるおわせる作用があり、灯盞細辛の辛温性で体内の陰血(うるおい)が消耗するのを抑えます。解毒の作用もあります。


どんな体質の人にも

大浦
 灯盞細辛を他の生薬と組み合わせて新しい健康食品を創られたわけですが、やはり「平性」の食品になるように心がけられたわけですね。


董和
 そうです。もし辛温性の灯盞細辛を、さらにガジュツ(苦、辛、温)紅花(辛、温)などの温性の生薬と組み合わせれば、灯盞細辛の辛温性の偏性(副作用)がますます強くなります。こうした組み合せは体力がある冷え症の方にはよいですが、暑がりやのぼせ体質、乾燥体質、虚弱体質、お年寄りなどには適しません。 結局、漢方薬みたいに人それぞれの症状、体質を調べないと、合うか合わないかわかりません。 これでは誰でも食べられるものとは言えません。


大浦
 灯盞細辛のエキスは中国では医薬品になっているそうですが…。


董和
 では、灯盞細辛の有効成分だけを使用すればどうなるでしょうか。中国の灯盞細辛エキス製剤には内服薬と注射薬があります。辛温性が強いため、多くは医薬品として使われているのです。医薬品の場合は、その人の症状に応じて使用すれば問題はないのですが、食品 として誰でも用いるというわけにはいきません。
ですから、単味の灯盞細辛は熱性の病気、陰虚の体質 、暑がり体質、虚弱体質の方に使用する場合には、医薬品と同じように寒涼性(体を冷やす)または滋陰強壮(うるおわせる)の生薬と併用しなくてはいけません。温熱性体質の人が温熱性の食品を食べ過ぎると体が一層暑くなり、血液が過剰に流れて内出血傾向が強まります。長期間にわたって食べると危険です。

大浦
 では、灯盞細辛をどのような生薬と組み合わせら れたのでしょうか。


董和 平性で、万人向きの健康食品にするには少々苦労しました。私が参考にしたのは、原産地の雲南省で灯 盞細辛と鶏卵を一緒に煎じて食べているという習慣です 。これを元に灯盞細辛を主材とし、漢方の寒・熱・補・瀉 および相須・相畏などの理論(詳しくは前回を参照)に基づいて組み合わせを考えました。

大浦
 灯盞細辛の他には何が入っているのですか。


董和
 お種人参、田七人参、紅景天、水蛭、青皮竹(テンチクオウ)、真珠、蛇胆、サフラン、玉竹(ギョクチク)の合わせて十種類です。


大浦
 それぞれの作用を少し詳しく説明してください。

董和  灯盞細辛ははじめに言いましたように血流改善の主役です。紅景天、田七人参、水蛭、サフランには活 血(血流をよくする)化瘀(古血を除く)の作用があり、灯盞細辛の効果を補助します。 また青皮竹、蛇胆には化痰作用(貯留した異常な水液を 除く)があり、水毒を除去します。痰(貯留した異常な水液 )と瘀血(古血)は血流に対しては障害物であり、痰と瘀血 を除去すれば血の流れが生き生きとしてきます。真珠は寒性で鎮静効果があり、胸が暑くてイライラするときや動悸などに用います。 これら活血・化瘀・化痰に働く生薬は、駆邪(病邪を追い 出す)瀉実(機能の過亢進を抑える)には良いですが、体力が低下した人には効力が強すぎますから、体力を補うためにお種人参と玉竹を配合します。 玉竹は百合科の植物でアマドコロ(甘野老)とも呼び、成 分として強心配糖体のコンバラマリン、コンバラリン、粘液多糖類のオドラタンなどを含みます。 漢方では滋陰(血の不足を補う)潤肺(肺をうるおす)生津液(体が乾燥しないように体液を正常に保つ)の効能があり、熱病による脱水、咳、口渇、頻尿、盗汗などに用います。玉竹のこれらの働きは、灯盞細辛の辛温発散 の薬性により陰液(血)が消耗するのを防止し、解毒の効果もあります。

大浦 全体としては「平性」になっていますが、それぞれはどのような薬性を持っているのでしょうか。

董和 この灯蓋細辛などの薬草には、寒・熱・補・瀉、いろいろな薬性を持った生薬が含まれています。 「補」の成分は紅景天、お種人参、田七人参、玉竹です。 「瀉」(化痰・駆瘀血)の成分は灯盞細辛、水蛭、青皮竹、 真珠、蛇胆、サフランです。 一方、温熱性の成分は灯盞細辛、お種人参、田七人参 であり、寒涼性の成分は紅景天、水蛭、青皮竹、玉竹、 真珠、蛇胆です。 これらの生薬を漢方の配合法により、合理的に〈寒・熱・ 補・瀉〉のバランスをとり、平性のものに仕上がっています。これで難しい漢方の弁証論治を用いなくても、どなたでも安心して利用していただくことができます。

血管のつまりを取る


大浦 先生の配合方法にはいつもながら感心させられます。ところで、今回の灯盞花は、どのような方たちが用いたらよいでしょうか。

董和
 まずお勧めしたいのは、心・脳疾患(血栓病)の予防、治療です。血栓の溶解効果が期待できます。
血管内で血球が固まると病的血栓ができます。そのため血管が詰まり、その先の栄養や酸素の供給が途絶え、 組織細胞が壊死してしまいます。これが脳や心臓の血管で起こると脳梗塞、心筋梗塞といった重大疾患につながります。血栓病の死亡率は、血管が再疎通するまでの時間に左右されますから、迅速な血栓の溶解が不可欠なのです。

大浦
 脳卒中の後遺症にはどうでしょうか。


董和
 これにもお勧めします。脳卒中後遺症は・脳卒中の発作により脳に障害が残るものですが、原因は主に 脳出血、脳動脈の閉塞などです。症状としては、片麻痺を中心とした運動機能障害、失語症、痛み、しびれ・けいれんなどです。片麻痺は運動路の錐体路系が遮断されるために起こるものです。


大浦 灯盞花の効用から考えて、狭心症や心筋梗塞にも良いですね。

董和 ええ。冠動脈(心臓に栄養を送っている血管)の血管壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が進むと、血管の内側が狭くなり、血液の流れが不十分になります。心臓を養っている血液が不足すると「心筋虚血」の状態になります。心臓が虚血状態になると、胸の圧迫感や胸痛を感じるようになります。これが狭心症です。 ただし、この症状は長くても十五分以内に消えてしまいます。これが進行すると、冠動脈がさらに狭くなり「血管が完全 にふさがって血液が通じない」状態になります。こうなると血液が通わなくなった部分の心筋細胞は壊死(えし=死んでしまう)して、症状も長時間続くことになります。これを急性心筋梗塞症と呼びます。 灯盞細辛などのものを食べづけていると、冠動脈の狭窄~閉塞を予防する働きが期待できます。

大浦
 高齢化社会を迎えて、痴呆が社会問題になっていますが…。


董和 脳血管性痴呆にも勧められます。痴呆は大きく分けると、脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆に分けられます。このうち脳血管性痴呆は男性が約二十二%、女性は約三十九%といわれています。 脳血管性痴呆は脳梗塞や脳内出血などで脳の神経細胞が死滅するために起こる痴呆です。新たに脳組織が壊れない限り、進行はしないとされています。これにも灯盞細辛などのものは効果が期待できます。

大浦
 紅景天や蛇胆が含まれているので慢性の肺疾患にも良さそうですね。先生自身は灯盞細辛のものを食べられるようになってから、目がよく見えるようになったとお聞きしましたが、どうでしょうか。


董和 肺や眼底は毛細血管が密集しているところですから、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、眼底血流異常などにも効果が期待できます。

大浦
  多くの病気の原因には血液の循環障害があります。ただ血液循環を良くするだけの製品はたくさんありますが、この灯盞花がそれらと一線を画するところは、どんなタイプ(体質)の人が食べつづけても安全なように考慮されてつくられているという点です。
血液循環を良くするということはエネルギーをかなり使うわけですから、長くつづける場合にはエネルギーの消耗を考慮した配合をしておかなくてはなりません。こういった点を考慮しておかないと、場合によっては危険を招きかねないのです。しかし、残念ながら、そこまで考慮した製品はほとんどありません。その点、董和先生は中医学と生薬学に対する豊富な知識と経験をもとに製品をつくられているので、私どもも安心して会員の方々におすすめすることができます。

本日はどうもありがとうございました。


(了)