董和先生に聴く
紫霊芝など薬草のおはなし(下)
聞き手:大浦純孝 社長

大浦 掌蹠膿疱症もリウマチも厄介な病気で、現代医学では治療の決め手がありませんが、紫霊芝はこうした難しい病気にも良いようですね。

董和 それは大浦先生から教えられたことですが、私は初めのうちは半信半疑でしたので、大浦先生に聞きましたらやはりそうでした。私は中国ではリウマチを専門にしていました。これが紫霊芝などで良くなるとは考えられませんでした。しかし大浦社長のお話から、皆さんに勧めたら良かったという人がだんだん増えてきました。

大浦 私もまだ数は少ないですが、これを使っていただいた方はほとんど改善しています。朝の手のこわばりとか体の動きなど、これを飲んでいるときは全くちがうと言われています。

董和 リウマチは年とともに進行していきますが、できるだけ進行を遅らせ、できればステロイド剤を使わなくてもよい状態に保つこと。そして痛みを緩和すること、これが治療のポイントだと思います。痛みがあるとき、ステロイド剤は効くかもしれませんが、長い目でみると関節の変形など症状の悪化を早めます。

大浦 現代医学ではリウマチは免疫異常が原因とされ、ステロイドのような免疫抑制剤が使われますが、紫霊芝は違います。痛みにはどのようなものが良いですか。

董和 私は田七人参、山稜、ガジュツなどを用いていますが、漢方では独活や羌活などがよく使われます。


痛みにツボクサ

大浦 以前、骨砕補にも鎮痛効果のあるものが入っているので、これと紫霊芝を併せて用いると良いとうかがいました。

董和 それも悪くありませんが、今なら痛みに対してはツボクサ(積雪草)が一番です。骨砕補植物などは骨の変形などに良く、続けていると変形が改善することがあります。

ツボクサには抗炎症、止痛、化膿止めなどの効果があり、痛み止めには優れていますが、骨の変形を改善する働きまではありません。

大浦  リウマチの人が、早めに紫霊芝と骨砕補を使えば、骨の変形を抑えることができますか。

董和  役に立ちます。加齢に伴う変形性関節症とリウマチによる変形とは、成り立ちがちがい、変形性関節症は老化のせいで軟骨が減ってくるものですが、リウマチは軟骨が壊死してしまいます。ツボクサには軟骨を改善する働きまではありませんが、痛みがあるときはよい。

一方、骨砕補植物などには補腎作用もあり、これが骨を丈夫にしてくれます。免疫力の向上にも役立ち、痛みにも良いし、オ血の改善作用もあります。症状が激しいときは骨砕補植物などとツボクサの両方を用いるほうが良いでしょう。

以前に、八十歳を超えた方で、腰が痛く寝たきりで、骨砕補植物などを飲んでいるのに起きられないという方が数人ありました。

この方たちにツボクサを合わせて摂ってもらったところ、起きられるようになったという例がありました。痛みが激しいときは両方用いる方がよい。

大浦 筋力が低下して起きられないようなときは黒蟻がいいですね。

董和 そういう場合は、クロアリなどがよいでしょう。骨砕補植物なども悪くはありません。ただツボクサは力が弱い。筋力が弱っているのは虚証で、これには滋養強壮のものが必要です。ツボクサは実証に対するものです。

骨砕補植物やクロアリなどは運動器系の痛みによいものです。

ツボクサも運動器系の痛みにいいですが、さらに化膿性の痛みにも良い。これは骨砕補植物にはない作用です。歯痛、歯茎の腫れ、歯周病、虫垂炎、乳腺炎、胆嚢炎、胆石、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、痛風、神経痛、生理痛、食中毒の腹痛や内臓の痛みなど、ツボクサのものはどんな痛みにも使えます。

大浦 痛風にもツボクサだけでいいのですか。

董和 いいです。ただし飲み方にコツがあります。激しい痛みのときは通常の二~三倍の量を一度に飲みます。そうして三十分ほど様子をみて、痛みが治まらないときはまた同じ量を飲みます。そして三十分後、まだ痛みが止まらなければまた飲み、痛みが止まるまで三十分ごとに飲みます。

これは急性虫垂炎のように、一刻を争うような病気の場合には大切です。手当てが遅れて腹膜炎を起こすと一命にかかわることがあります。病院で治療を受けるまでの応急処置として意義があると思います。単に痛みを止めるだけでなく、化膿止め、炎症止めの作用もあるのです。ただ、骨の改善は期待できません。


腫れ、化膿も止める

大浦 歯の病気は歯痛、歯茎の腫れ、歯周病、どれにも良いのでしょうか。

董和 漢方薬に排膿散という処方があります。私たちの仲間の歯科医の先生は「昔は歯茎の腫れに排膿散がよく効いたのに、今はあまり効かない。でも、ツボクサは非常にいい」と言われています。

歯の痛みは若い人より、お年寄りのほうが強く感じる傾向があり、お年寄りでよく痛み止めと抗生物質の両方を長く飲んでいる人がいますが、ツボクサには痛み止めと抗生物質の両方を合わせたような働きがあります。長期間飲んでも副作用はありません。

大浦 これは平性ですか。

董和 いえ、微温性です。長く飲んでも体を冷やすことはありません。私はよく顔にデキモノができ、腫れて、固く、痛み、長くつづいて困っていましたが、これでほとんど良くなりました。また、先日、薬局の先生が、ある患者の大きなニキビ(一種の面瘡)がツボクサと苦地胆植物できれいに治ったと喜ばれていました。

大浦 ツボクサは苦地胆植物と合わせたほうが良いのですか。

董和 お互いの力が相乗されます。ツボクサと苦地胆植物では働きがちがい、苦地胆植物には抗菌作用はありますが、痛み止めの作用はありません。発散(腫れ、固いものを散らす)作用も弱い。一方、ツボクサには抗菌作用ばかりでなく、化膿止め、抗炎症、さらに発散作用もあり、膿があれば排出を促します。

先日も、ある薬局で、睾丸が腫れて痛み(原因は不明でした)どんな薬を使っても治らなかったお客さんに、ツボクサを摂ってもらったところ速やかに良くなったということでした。血流改善や発散などの働きが役立っているものと思います。


生理痛と子宮内膜症

大浦  生理痛もツボクサだけでよいですか。野牡丹植物とはどう違うでしょうか。

董和  生理痛は子宮内膜症による可能性が大きいので、ツボクサだけで症状を改善するのは難しいと思います。痛みの緩和にツボクサを合わせてもいいですが、基本としては野牡丹、田七人参などを用います。これを続けていけば、だんだん症状が軽くなってくると思います。ツボクサだけでは、飲んでいるときは痛みが治まっていても、子宮内膜症自体の改善は難しいでしょう。

大浦 妊娠中の人には?

董和 野牡丹植物は使えますが、田七人参と併用すれば使えません。田七人参には活血作用があり、妊娠中は食べないほうがよい。

もし、妊娠中で子宮内膜症がある人であれば、代わりに野牡丹植物とミカンの皮を用います。子宮内膜症、卵巣の腫れなどに良好な結果が出ています。ただ、子宮筋腫に対しては思ったほどの効果がなかったので、野牡丹植物に田七人参、霊芝、シャチュウ(化オ血作用がある生薬)を加えて考えて創りました。これは生理痛や子宮筋腫、子宮内膜症の他、さまざまな婦人科症状に適応します。

大浦 痛みに対する野牡丹植物、ミカンの皮の効果はいかがでしょうか?

董和 野牡丹植物、ミカンの皮だけでは難しいでしょう。

子宮内膜症、卵巣嚢腫、卵巣の腫れなどに対しては、野牡丹植物に田七人参、霊芝、シャチュウを加えたほうがずっと優れています。

子宮筋腫の症状の軽減にも評判はいいですが、解消するのは難しいようです。

また、野牡丹植物に霊芝、シャチュウを加えたものは不妊の人にも使っていますが、子宮内膜症が不妊の原因になっているような方には良いと思います。


女性と「血」

大浦 さて、リウマチは圧倒的に女性に多いですが、漢方的に考えるとこれはどういうことになりますか。

董和 漢方の書物に特別の記載はありませんが、女は一生「血」と密接にかかわっています。生理も血、妊娠も血(赤ちゃんの栄養はお母さんの血から得る)、乳汁も血が変わったものです。そして年をとると生理がなくなります。これは血が不足するからと考えられていますが、膠原病になる人は肌が白く、きれいな人が多い。

大浦  色白で、ふくよかな女性に多いといわれますね。

董和  そうです。だから、血が足りなくなったために起こるのかもしれません。

大浦  免疫学の安保徹先生は、神経が過敏な人がかかりやすいといわれています。精神的に強い人は少々のストレスは受け流せるけれども、敏感な人はちょっとのストレスでも交感神経が緊張し、影響をもろに受けてしまう。そして血流障害が起こり、活性酸素などの害を受けるからではないかといわれています。

董和  確かに、そういうことはあると思います。男と女の違いで大きな点は、女性、特に中年の女性はストレスの影響を受けやすいことです。この年代は子どものことや家庭のことなど悩みの多い年代です。そのため漢方的にいうと「肝鬱」になります。

大浦 「肝鬱気滞」の肝鬱ですね。

董和 そうです。一般に女性は細かいことをゴチャゴチャと言います。これは肝鬱の証です。特に、子育てや教育、家のローンなどで問題を抱えている三十代に多い。五十~六十代になると比較的落ちついてきますが。

大浦 紫霊芝には肝鬱気滞を解消する働きがあるのですか。

董和 これだけでは弱いので、いろいろな生薬を組み合わせます。漢方ではウツ症状に対して柴胡 (ミシマサイコの根) 香附子(ハマスゲの塊茎) 芍薬 (シャクヤクの根) 枳実 (未熟ダイダイの実) などが使われますが、もっと効果が高いのは山稜、ガジュツ、ウコン、青皮などです。これらには肝の気の巡りを良くする働きがあり、肝鬱の発散に役立ちます。

一方、霊芝や田七人参には滋養強壮作用があり、肝に対しては滋潤作用(うるおす働き)もあり、特に女性には有用です。お種人参(朝鮮人参)は補気剤で、主に男性に用いますが、田七人参は補血剤で、女性に用いることが多いのです。

大浦  同じ人参でも、用い方が違うわけですね。

董和  ええ。肝鬱には田七人参が良く、女性では補血しながら、オ血を取り除いていきます。それに山稜、ガジユツ、ウコンなどをプラスすることによって、気血の流れを良くし、肝鬱を解消していきます。

大浦 その他に、田七人参にはどのような効果がありますか。

董和
 もともと田七人参は民間では打撲に用いられていました。

打撲をするとオ血を生じます。これを除くのに田七人参は効果があります。もう一つは補血作用があり、お産の後に田七人参と鶏を煮て食べ、産後の補血に役立てました。

以前はこれくらいの効用しか知られていませんでしたが、オ血解消、血流促進、心脳血管障害予防など、さまざまな働きが分かってきました。それにつれて田七人参の栽培が盛んになりました。
でも、栽培年数の短いものでは効果が期待できません。

私が使っているのは最も効果が高い田七人参十頭根あるいは十二頭根です。

大浦 リウマチはウイルス感染が原因とする説がありますが、抗ウイルス作用はどうですか。

董和 抗ウイルス作用は大青葉が優れています。白花蛇舌草、半枝蓮にも抗ウイルス作用があります。大青葉は日本の植物でいえば藍の仲間です。根を板藍根といい、その葉が大青葉です。成分的にはほとんど同じです。

大浦 インフルエンザにも使えますか。

董和
 どちらもよく使われますが、有効成分のインジゴは大青葉のほうが多いので、効果はこちらが強いと思います。

リウマチの原因はウイルスとか免疫の異常など、いろいろあると思います。紫霊芝は、はじめはリウマチや掌蹠膿疱症を対象にしたものではありませんでしたが、大浦先生をはじめ多くの先生方の情報より、リウマチや掌蹠膿疱症にも良いということが分かってきました。私も効く理由を考えているところですが、紫霊芝はさまざまな貴重な生薬と組み合わせて用います。そうした多くの生薬の相乗効果により、体内の臓器の働きが良くなり、バランスが整うので、症状が改善されるのではないかと思っています。そういうことから考えますと、まだ他にも効く症状、疾患があるのではないかと思われます。

大浦 私も、今後それを楽しみにしております。本日はどうもありがとうございました。

              
(了)

注:ここの苦地胆は、別名苦草、または金瘡小草の植物です。菊科の苦地胆、別名地胆草、または地胆頭と呼ばれる植物ではありません。(董和)