董和先生に聴く
「紅景天」の話
聞き手:大浦純孝 社長


大浦 最近、今年はじめての新しい製品を出されたそうですが、今日はそれについておうかがいしようと思います。
その主材となっているのは何という植物ですか。

董和
 「紅景天」といいます。これに冬虫夏草、お種人参、玉竹、沙参(釣鐘人参)、山茱萸などを合わせて用います。

ドライアイ

大浦
 各生薬については後で詳しく説明していただくとして、これが近年増えているドライアイに良く、先生ご自身でその効果を確認されたそうですね。

董和
 ええ。自分ではドライアイとは知らなかったのですが、四年くらい前から目がゴロゴロして、なにか目に膜が張ったようで見づらく、不愉快で、うまく表現できないような違和感がありました。

大浦
 それがドライアイ(角膜乾燥症)だったのですね。

董和
 赤みも腫れもなく、かゆくもありませんでしたが、パソコンをよく使ったり本を調べたりしていましたから、ドライアイの可能性が高いと思います。

大浦
 パソコン画面を長時間直視するなどして、まばたきの回数が減ることが要因になるといわれていますね。

董和
 涙の量が減ったり成分が変わったりして、眼球の表面が乾燥し、傷や障害が起こる目の病気ですが、詳しい原因は不明とされています。

大浦
 先生はどういうきっかけで、これらを食べられたのですか。

董和
 目の症状を改善しようと思って食べたわけではないのですが、紅景天などを食べた後、目がはっきりと見えることに気がつきました。特に車を運転するときに、その効果が顕著でした。二~三日食べないと症状が元に戻りますが、また食べるとはっきり見えます。こういう経験を何回かして、紅景天が目の乾燥に良いということに気づきました。

大浦
 これは紅景天のどんな働きによるものですか。

董和
 紅景天や玉竹、沙参には体を潤す作用があります。涙の分泌が良くなり、角膜の乾燥が和らぐので、目が楽になってくるのだと思います。

ドライマウス、口臭

大浦
 ドライアイと関連して、ドライマウス(口腔乾燥症)にはどうでしょうか。

董和
 これを食べると唾液の分泌が良くなりますから、口内の乾燥にも効果があります。これを食べると、すぐに唾液が出てくるという人もあります。

大浦
 唾液がよく出るようになると口臭にも良いですね。

董和
 ええ。これは何人かにテストしましたが、大変効果がありました。早い人は一~二日で口臭がほとんどなくなります。

大浦
 食べるのを止めると、また口臭が出ますか。

董和
 一~二週間食べつづけると、止めても元に戻らない人がいます。つまり、それで治ってしまう人も結構あります。

大浦
 やはり口臭は唾液の不足が原因として大きい?

董和
 そうですね。口臭の原因は胃腸の働きが悪いとか、歯周病があるとか、いろいろと言われますが、唾液不足も大きな要因です。特に夜間は唾液が出なくなりますから、口臭もひどくなります。
唾液には殺菌作用もあり、よだれを流すほど唾液の多い赤ちゃんには口臭はありません。

大浦
 皮膚が乾燥して(ドライスキン)かゆみを覚えるような場合にはどうでしょうか。

董和
 潤い不足による乾燥肌には適しています。ただ、乾燥肌は心熱による場合もあります(体の中に熱があり水分が蒸発していく)。こういうときは清熱のもの(体の熱を冷ます=大青葉、金銀花、山梔子など)を合わせる必要があります。

「紅景天」とは?

大浦
 では、この辺で、主材の紅景天について説明をお願いします。

董和
 紅景天はベンケイソウ科の植物で、和名をイワベンケイといいます。「北極の薔薇」ともいわれ、アメリカ、ヨーロッパの北極地方からロシアのシベリアにかけて、また中国のチベット自治区~東北部にかけて分布しています。日本では長野県にもあるといわれます。

大浦
 高山に自生しているのですか。

董和
 北極地帯や2,500mを越える高山など、自然環境が過酷なところに生育し、根や茎は丈夫で、生命力の強い植物(多年生)です。

大浦
 どの部分を薬用にするのですか。

董和
 根部を用います。

大浦
 紅景天は一種類ですか?

董和
 仲間や変種が多く、世界で約九〇種類あるといわれます。

大浦
 ということは、最近、紅景天の製品がいろいろと出回っていますが、みな同じではないということですか。

董和
 そうですね。効能効果はそれぞれ違うと思います。中国でも七〇種類くらいあります。

大浦
 ところで、紅景天の主な成分は何でしょうか。

董和
 配糖体です。ただ、配糖体の種類も含有量も、紅景天の種類によってまちまちです。

大浦
 となると、由緒正しい、効能効果のしつかりしたものを選ばなけ
ればなりませんね。

董和
 そうです。私が使っているのはチベット産の高山紅景天ですが、一般には中国・東北地方のものや極北地域のもの(いわゆる「北極の
薔薇」)も使われています。

紅景天の歴史

大浦
 紅景天の薬用の歴史は古いのですか。

董和
 チベットでは約1000年前から使われています。チベット医学の巨大な著作『四部医典』には、紅景天は「神薬」と記載されているそうです。

大浦
 チベットでは、どのように用いているのでしょうか。

董和
 煎じて飲んだり、お茶にして飲んだりしています。

大浦
 その際の効用は?

董和
 チベットは高地にあり、空気が薄い、昼夜の温度差が激しい、また酸素不足、強い紫外線、乾燥、強風など、厳しい自然環境の中で生活しています。そうした過酷な自然条件の中で健康に生きるために、彼らは紅景天を常用しています。

大浦
 薬用としては、どのような効用がありますか。

董和
 チベットでは、紅景天は活血(血流を良くする)、止血、清肺(呼吸機能を整える)、止咳などの効能があるとされ、咳嗽、喀血、肺炎のほか、婦人のおりもの、打撲、火傷などにも用いられるということです。

大浦
 中国では使い方が違うのでしょうか。

董和
 中国は東北地方が主な産地ですが、ここでは紅景天は民間薬として煎じて飲んだり、酒に浸けて薬酒として用いたりしています。滋養強壮、疲労回復、寒さ対策、抵抗力の増強などの効果があるとされています。

大浦
 ロシアではどうでしょうか。

董和
 ロシアでは紅景天は「黄金の根」と呼ばれます。効果が優れていることから名づけられたのでしょうが、疲労、貧血、神経性疾患、性機能低下、胃疾患などに用いられます。
結婚式では、新郎に「たくさん子宝に恵まれるように」と、紅景天の根をプレゼントする習慣があるそうです。このように健康を守るために、紅景天を服用する習慣は各地にあります。

アダプトゲン

大浦
 はじめに紅景天の効用に注目したのは旧ソ連だそうですね。

董和
 ええ。1960年代に、旧ソ連の軍事医学者が滋養強壮薬を探していて紅景天を見つけました。その後の研究によって、紅景天には「アダプトゲン」としての作用があることがわかりました。

大浦
 アダプトゲンというのは?

董和
 日本語では「適応原」と呼ばれますが、これの働きは人体の恒常性(ホメオスタシス)の維持にあります。

大浦
 具体的には?

董和
 いろいろな作用がありますが、環境変化(酸素不足、寒冷、疲労など)への適応・回復作用、抗ストレス作用、抗老化作用、滋養強壮作用などがあります。そして崩れた体内のバランスを正常にし、病んだ体に健康を甦らせる働きがあるといわれています。

大浦
 アダプトゲンの働きがある植物には他にどのようなものがありますか。

董和
 他には、お種人参、エゾウコギなどにアダプトゲン作用があるといわれていますが、免疫力を増強する力は紅景天の方がお種人参より優れていることがわかってきました。

大浦
 その他には、どのような効果が期待できますか。

董和
 その後の基礎研究によって、これらの植物には抗腫瘍、抗酸化、抗菌、抗ウイルス、抗炎症、抗ウツ、さらに免疫賦活、鎮痛や鎮静、血小板凝集抑制(抗血栓)、降圧などの作用も示されているということです。

大浦
 精神面の効用についてはどうでしょうか。

董和
 記憶力の増強や自律神経の調節作用もあるといわれます。

脳・心臓血管系に

大浦
 はじめに、ドライアイ、ドライマウスの効果について話していただきましたが、紅景天には他にどのような効果がありますか。

董和
 特におすすめしたいのは脳・循環器疾患です。最近の薬理研究の結果によると、紅景天は脳・心臓血管系の疾患に効果があり、長く摂取を続けると脳卒中や心筋梗塞の予防に役立つといわれます。

大浦
 これは紅景天だけの効果でしょうか。

董和
 はじめにちょっと言いましたが、私は紅景天に、冬虫夏草、お種入参、玉竹、山茱萸、沙参などを合わせて用いるよう、おすすめしています。

大浦
 その理由を説明してください。

董和
 漢方薬の中に「生脈散」という処方があります。これは強心(心機能を高める)補肺(肺の機能を整える)の働きのある処方です。

大浦
 どういう時に用いる薬ですか。

董和
 生脈散は去暑剤に属し、もともと炎暑によって疲れ、多汗、口渇などの症状があったり、熱中症で脱水症状がある時などに用いる処方です。

大浦
 どのような生薬で構成されていますか。

董和
 お種人参(朝鮮人参)麦門冬(ジャノヒゲの塊根)五味子(チョウセンゴミシの実)の三つです。

大浦
 それぞれ、どのような働きを持っていますか。

董和
 お種人参には補気、強心、強壮、止汗など、麦門冬には滋養津液(体を潤す働き)、そして五味子には汗止めの働きがあります。

大浦
 この三つが合わさると?

董和
 心臓と肺に対して効能があり、強壮、潤い、止汗などの作用をもたらします。例えば、夏バテで口が渇き、疲労、多汗などがあるときに用います。肺の乾燥による空咳にも用いられます。

大浦
 「生脈散」の名前の由来は?

董和
 暑気あたりや熱中症になると、心臓が弱って脈が弱くなってきます。脈は心臓から生じますから、脈が弱いということは心臓が弱っていることを意味します。この弱った脈(=心臓)を生き返らせる働きがあるというので、生脈散と名づけられたようです。

生脈散を上回る

大浦
 この生脈散を参考にして、先生は新しい健康食品を作ろうと考えられたのですね。

董和
 そうです。お種人参はそのまま利用しましたが、麦門冬は玉竹に、また五味子は山茱萸にチェンジしました。これで生脈散より、もっと心・肺に効果があるものになったと思います。

大浦
 新しく加えられた玉竹と山茱萸について説明してください。

董和
 玉竹はアマドコロ(ユリ科の多年草)の根です。滋陰(潤い)効果があるのは麦門冬と同じですが、それより優れた強心効果があります。

大浦
 どのような成分が含まれているのですか。

董和
 強心配糖体のコンバラマリンとコンバラリンという物質です。これらが含まれるので狭心症や心不全に使われることもあります。強心成分がある玉竹は、滋陰作用だけの麦門冬より、ずっと優れているといえます。

大浦
 山茱萸の方はどうでしょう?

董和
 山茱萸はハルコガネバナの果実ですが、五味子も山茱萸も味は酸・渋で、微温性(体を少し温める)です。どちらも収斂薬として用いられ、五味子には咳止め効果がありますが、山茱萸は滋養強壮効果が優れています。

心肺機能の強化

大浦
 こうして、お種人参、玉竹、山茱萸の三つを組み合わせることによって、生脈散と同様な働きを持つものができたわけですね。

董和
 そうです。

大浦
 これに紅景天や冬虫夏草を加えた方が良いというのは?

董和
 滋養強壮効果がいっそう向上します。紅景天にアダプトゲン作用があることは先に言いました。これに生脈散と冬虫夏草を合わせると、漢方の「復脈湯」とよく似たものになります。

大浦
 それはどのような処方ですか。

董和
 復脈湯には潤燥(乾きを潤す)補心肺(心肺機能を高める)の効能があり、漢方では動悸や不整脈に用いられる有名な処方です。特に慢性的な心肺機能の低下に用いられます。

大浦
 紅景天に冬虫夏草、お種人参、玉竹、山茱萸などを合わせると、復脈湯と同様な効果が期待できるわけですね。

董和
 それより効果は優れているといえます。

大浦
 最初に、ドライアイ、ドライマウス、口臭などに対する効果をお話しいただきましたが、他にはどのような効果が注目されますか。

董和
 もう一つ、大きな働きは心肺機能の強化で、動悸、不整脈、息切れ、狭心症、心筋梗塞、心不全など、いろいろな心臓症状に応用できます。

大浦
 どなたか、効果のあった例がありますか。

董和
 私の知人で、最近カラオケ教室を始めた人がいます。しかし、はじめてのことですから疲れて、心臓が動悸を打つようになりました。どうしたらよいかと相談を受けましたので、早速、紅景天や冬虫夏草、お種人参、玉竹、山茱萸などを合わせて摂るようにおすすめしました。

大浦
 結果はどうでした?

董和
 しばらくして「二、三日で良くなりました!」というEメールが送られてきました。大変うれしい報告でした。

長期摂取にも安全

大浦
 肺の働きに関してはどうでしょうか。

董和
 滋潤(うるおわせる)、咳止めなどの効果がありますから、肺の乾燥、空咳あるいは酸素不足のときなどに使えます。

大浦
 病名でいうと?

董和
 肺結核、肺気腫による酸素不足、問質性肺炎、空咳、血痰などにすすめられます。

大浦
 鼻は呼吸器の入り口ですが、鼻の症状に対してはどうでしょうか。

董和
 漢方では「鼻水は肺液の漏れ」と考えています。収斂性のある冬虫夏草や山茱萸などを、紅景天と合わせて摂ると鼻水を止めるのに役立ちます。花粉症、慢性鼻炎、後鼻漏など、鼻水に悩まされるタイプの症状に有効です。

大浦
 鼻の粘膜は乾燥するのに鼻水がたくさん出るという人がいますが、こういう人にもいいでしょうね。

董和
 ええ。また、紅景天を玉竹や沙参(釣鐘人参)などと併用すると鼻粘膜が潤いますから、乾燥性の鼻炎や鼻粘膜の出血などに対しても有効です。

大浦
 ところで、心臓や肺の疾患は慢性に経過するものが多いですね。

董和
 これらはほとんどが虚証です。虚証の病気は体を滋養強壮することが大切です。それに加えて、心臓病では血流を良くする、肺の病気では肺を潤すことなどが大切になります。

大浦
 間質性肺炎、肺気腫、肺結核、心不全、不整脈、息切れなどは長期的に対処しなければなりません。新薬には的確に効く薬がない上に、長く飲みつづけると副作用が出てきます。その点、今回の製品は長く摂取してもその心配がなく、それでいて効果が的確です。
これがなにより嬉しいです。

本日はどうもありがとうございました。

(了)