董和先生に聴く
こり・痛みの症例(上)
聞き手:大浦純孝 社長

大浦 先生はこれまでに多くの健康食品を創ってこられました。その度に、製品の成り立ちや構成、働きなどについて、お話をうかがってきましたが、今回はそうした製品を試された方たちの反響が聞けるということで楽しみにしています。

董和
 これまでは健康食品の開発の経緯とか、健康食品に含まれる食品類の作用、あるいは組み合せの妙などを理論的に説明してきました。今日は少し趣向を変えて、それを使われた方たちの実例について、いくつか述べさせていただきます。はじめは「肩こり」の例です。

肩こり

大浦
 肩こりという言葉は英語にはないといわれます。

董和
 実は、中国にもありません。私は中国で裸足の医者を二年、内科医を四年やっていましたが、その間、一人も肩こりの人を見ませんでした。

大浦
 肩こりという言葉もないのですか。

董和
 ありません。私は、肩こりは日本に来てはじめて知りました。

大浦
 日本では、肩こり、頭痛などは自律神経失調症として捉えることが多いですが、中国には自律神経失調症を訴える人も少ないのですか。

董和
 訴える人はありますが、少ないです。

大浦
 どうして少ないのでしょうか。

董和
 自律神経失調症はストレスが大きな原因ですが、中国の人たちはお互いに言いたいことを言って発散し、解決しています。中国には、何でも話しやすい社会環境があります。

大浦
 日本人は勤勉で、よく働きますが、悩みを発散する環境はあまり整っていないように思います。

董和
 そうして緊張が続くと筋肉が硬くなってきます。これが解消されないまま働き続けると、コリになります。疲れはこれを助長します。

大浦
 医学的には、乳酸がたまって筋肉がこるといわれます。乳酸がたまる原因は酸素不足やビタミンB1不足が関係するといわれます。

董和
 そういう面もあると思いますが、漢方では肩こりは“風”の病いと考えています。

肩こりと漢方薬

大浦
 肩こりに漢方薬では「葛根湯」がよいとして、よく使われますね。  
   (※葛根湯=葛根、麻黄、桂皮、芍薬、甘草、大棗、生姜)

董和
 ええ。葛根湯には駆風作用があるから(だから風邪に効く)肩こりにもよいといわれます。でも、これは長く使うものではありません。

大浦
 なぜでしょうか。

董和
 葛根湯には麻黄(マオウの茎)桂皮(クスノキ科高木の枝の皮)が入っています。これらには強い発汗作用があります。これを長く使っていると体力を消耗し、陰虚になります。

大浦
 心臓に負担がかかることは?

董和
 それもあります。発汗によって血液の水分が減ると、体の潤いがなくなってきます(血虚)。血が減ると心臓の血管が細くなり、心臓の酸素も不足ぎみになります。

大浦
 お年寄りは麻黄剤を使うなと言われますね。

董和
 葛根湯は、漢方薬の中で解表薬に属し、皮膚や筋肉など体の浅いところで駆風作用をします。だから発汗作用も強く、長く飲んでいると副作用が出やすい薬なのです。

大浦
 こういうとき長く飲んでも安全、有効なものはありませんか。

董和
 それがこれからお話ししようと思っている「ヘビエキス」です。

「ヘビエキス」

大浦 まず、症例からお話しいただけませんか。

董和
 ある薬局の先生ですが、この先生はマッサージもされます。ところが、マッサージなどで肩や腕を使いすぎ、それが元で肩甲骨の内側あたりからひどい肩こりになり、息が詰まるほどになってしまったということです。

大浦
 ヘビエキスを用いられたきっかけは何だったのでしょう?

董和
 ある日の勉強会で、友人の先生に気功術を施してもらったら、その場で少し症状が和らいだそうです。これにヒントを得てヘビエキスを使用されたということですが、多めに飲んだところ30分ほどで症状がほとんど消えたそうです。

大浦
 その後は起こっていない?
董和 「その後、五日ほど服用しましたが再発はありません」といって大喜びでEメールをしてきてくれました。「葛根湯や柴胡剤その他、漢方薬もいろいろと試しましたが、ヘビエキスが即効性、有効性において一番でした」と書き添えてありました。

大浦
 その後で、董和先生はこの体験談を他の会員の先生方に披露されたのですね。

董和
 すると、これを試された多くの先生たちからも肩こりに高い治療効果が得られたという同じような報告が寄せられました。これには私も驚きました。

大浦
 当初、ヘビエキスは神経痛や皮膚疾患によい健康食品として開発されたということでした。

董和
 そうです。

大浦
 以前、お話しいただいたとき、中国の人はヘビをよく食べると言われていました。それは栄養があるからか、それとも美味しいからか、どちらでしょう。

董和 それは美味しいからですが、もう一つ大きな理由は「肌にいい」からです。中国では、巳年生まれの女性は肌がきれいといわれています。
大浦 食用の歴史は古いですか。
董和 ヘビは昔から漢方薬に使われています。とくに神経痛、手足のマヒ、しびれ、また筋肉や関節の硬直、こわばりなどによいとされています。

「截風の要薬」

大浦 そのヘビエキスが、なぜ肩こりによいのでしょうか。

董和
 先に肩こりは“風”の病いだといいました。突然に肩がこっても、それが突然に消えてしまい、後遺症は全く残っていないというとき、これを「風」といいます(風のようにやって来て、風のように去っていく)。肩こりも“風” の病いとされています。

大浦 ヘビのどのような効能が効くのでしょうか。

董和
 漢方では、ヘビは「内は臓腑に巡り、外は皮膚に達する」といわれ、去風湿(風邪や湿邪を追い出す)通経(経絡の流れをよくする)の働きがあるとされています。これらの働きが大きいと思います。

大浦
 もう少し、わかりやすく説明していただくと…。

董和
 ヘビは「截風の要薬」と称され、血中に滞留した風毒を駆逐する働きがあります。また通経の働き(経絡の流れが良くなると血の流れも良くなる)によって、血液の酸素不足を改善し、血中に滞った老廃物の除去も促進します。ヘビのこうした働きが肩こりに効くのだと思います。

大浦
 ヘビエキスは葛根湯より優れている点が多くありますね。

董和
 一つは葛根湯のように副作用がありません。誰が食べても安全です。それに葛根湯は体の浅いところの駆風ですが、ヘビは体の深いところから浅いところまで、全身的に駆風します。それにより肩の血管が収縮して筋肉が酸素不足を起こしているのを改善し、血中に滞留した老廃物も洗い流してくれます。

大浦
 ヘビは栄養効果も期待できますね。

董和
 ヘビは高タンパク質の食品で、長く食べることによって滋養強壮の効果も得られます。

大浦
 しかも「ヘビエキス」はヘビの粉末とちがって、ヘビのエッセンスが高濃度に凝縮されています。

董和
 そうです。ヘビ粉末というのは、ただヘビを乾燥、粉末にしたものです。ところがヘビエキスは、乾燥したヘビやヘビの脱け殻などを粉砕し、これを約一週間、エタノールに浸けておきます。その後、ヘビ粉末を濾過、除去し、エタノール分を回収します。この液体成分を乾燥したのがヘビエキスです。これは濃度が高いだけでなく、食品衛生上もよいです。

大浦
 どれくらい高濃度に含まれていますか。
董和 約10倍です。ですから、ヘビエキス1gはヘビの乾燥粉末10gに相当します。生のヘビに換算したら30gくらいになると思います。

偏頭痛にも効いた!

大浦 もう一つ、ヘビエキスが効いたという例は?

董和
 それは偏頭痛です。やはり、ある薬局の先生の体験ですが、十数年来、偏頭痛および首筋と肩のコリで困っておられました。その前日も、いつも通り偏頭痛と首筋のコリで目がショボショボし、集中力に欠け、しゃべるのも億劫なほどつらい状態だったそうです。

大浦
 なぜ、このような症状が起こるのでしょうか。

董和
 その先生の見立てでは、偏頭痛の原因は前夜の水分の摂りすぎで、寝る前に水分を摂りすぎると決まって偏頭痛、首と肩のコリが起こったそうです。

大浦
 その方がヘビエキスを飲んでみようと思われたわけは?

董和
 困っていたとき、友人の先生から「偏頭痛にはヘビエキスがよい」と教えられたそうです。そこで一気に、多量に食べてみました。すると信じられない早さで、目のショボショボ感や眠気、肩・首筋のコリなどが、短時間でウソのように改善していき、びつくりしたそうです。集中力も出てきました。

大浦
 これからは偏頭痛にヘビエキスを大いに勧められますね。

董和
 その先生も「長い間、偏頭痛によいと思われる薬を販売してきましたが、これほど顕著な効き目を実感できたものはありませんでした。偏頭痛でお困りの方がおられたら、ヘビエキスを自信を持っておすすめすることができます」と言っておられました。

大浦
 偏頭痛は中国にはありますか。

董和
 あります。漢方では、偏頭痛を「偏頭風」と呼びます。

大浦
 原因は何でしょうか。

董和
 現代医学では、偏頭痛は何らかの原因で脳の血管が収縮した後、一気に拡張するため、脳細胞が圧迫されて起こるとされています。つまり、脳血管の収縮と拡張の機能失調によって起こるものとされ、中国では血管性頭痛とも呼ばれます。

大浦
 漢方では、どのように見ていますか。

董和
 頭の痛みで、突然痛み出し、すぐに消えてしまい、くり返し発作のないものを頭痛といいます。これに対して、長年にわたって頭の痛みをくり返すものは「頭風」と呼びます。偏頭風は肩こりと同じように“風”の病いに属します。

通経・滋養強壮

大浦 偏頭痛にヘビエキスの何が効くのでしょうか。

董和
 偏頭痛は“風”の病いです。先述のようにヘビは截風の要薬であり、風の邪を追い出す働きが、まず挙げられます。

大浦
 他には?

董和
 それに通経作用もあります。経絡が通じると「気・血」の流れがよくなり、栄養がよく行き届くようになります。また老廃物の除去も速やかになり、新陳代謝が活発になります。それに、蛇には滋養強壮作用もあります。

大浦
 偏頭痛は、どのような体質の人に多いですか。

董和
 漢方的には虚証の人に多い。頭が割れるような激しい痛み(実証)は少なく、うっとうしい痛みがくり返し続くという感じで、体が弱々しい人に多い。それで治療には体力をつけること(滋養強壮)も必要になってきます。

大浦
 これまで先生は、あらゆる痛みに対してツボ草を用いられていますが、偏頭痛に対してはどうでしょうか。

董和
 ツボ草植物は化膿止め、炎症止めには素晴らしい効果がありますが、偏頭痛にはあまり効果がないようです。残念ですが…。

大浦
 普通の「頭痛」には、ツボ草は有効でしょうか。

董和
 よいと思います。ガンガンするような頭痛は急性で、実証の人に多いので、ツボ草植物の方がよいでしょう。しかし、「頭風」は慢性化しており、体力の乏しい人に多いので、駆風、滋養強壮、通経作用のあるヘビエキスが適しています。

大浦
 ツボ草にしてもヘビエキスにしても、どれくらい食べればよいでしょう?

董和
 私はどちらも「痛みが治まるまで食べる」を基本にしています。急ぐときは多めに食べてみてください。そして30分、様子をみます。痛みが変わらないようであれば、また同じ量を食べ、30分様子をみます。……こうして痛みが取れるまで食べつづけるのです。

大浦
 現代医学の薬は、痛みには鎮痛剤という風に、一対一的な関係の効果がほとんどですが、生薬は効用が幅広く、思いがけぬ「副効用」があることがあります。今回お話しいただいたヘビエキスの肩こりや偏頭痛への効果はその典型のような気がします。次回もまた面白い症例を期待しております。