董和先生に聴く
痛みと炎症の治験(下)
聞き手:大浦純孝 社長

大浦 前回は痛み、主に腰痛の例を紹介していただきましたが、いろいろな炎症が改善した例も多いそうですね。
董和 ええ。炎症は、脳をはじめ内臓、骨格、皮膚、神経など、体のあらゆる部位で起こり得ます。炎症が起こると赤く腫れて、患部は熱を持ち、痛みを生じます。痛みをもたらす原因として、炎症は最も多いものです。
大浦 痛みが主症状ですから、治療に用いるのはツボ草が中心になりますか。
董和 そうなりますね。

歯ぐきの化膿
大浦 まず一つ、例を挙げていただけませんか。
董和 これはある薬局の先生自身の治験で、重度の歯ぐきの化膿性炎症が良くなった例です。この先生は昨年の年末近くに、歯ぐきが非常に腫れて痛み、顔の形が変わってしまい、誰が見てもびっくりするほどだったそうです。
大浦 お医者さんには…。
董和 診てもらっていましたが、「こんなにひどいのは、私の十何年かの治療経験でも診たことがない。骨に浸潤しているようです。一応治療はしてみますが、口腔外科を紹介しますから、年が明けたら行ってください」と言われたそうです。
大浦 それで…。

董和 そのときに、その薬局の先生から私に相談の電話がかかってきました。そこで私は、例のツボ草と苦地胆を合わせて食べるように勧めました。
大浦 摂取量はどのくらいですか。
董和 痛みが激しかったので、ツボ草は一日の目安量の五倍ほど食べてもらいました。苦地胆の方は目安量より少し多い程度でした。
大浦 その結果はどうでした?
董和 双方とも食べる量を数日で目安量に戻し、二週間きっちりと摂っていただきました。それで痛みは治まり、重度の腫れも取れ、外見的にも腫れは見えなくなりました。
大浦 歯医者さんの方は?
董和 それ以来、口腔外科の話は消えてしまいました。歯医者さんも「そんな健康食品があるんですねー」と感心していたそうです。
大浦 ツボ草といっしょに摂った苦地胆というのは?
董和 とても苦い味がするので苦草ともいわれます。漢方的には微涼性(少し体を冷やす)で、清熱解毒の働きがあります。「漢方の抗生物質」ともいえるもので、各種の化膿性炎症に用いられます。

急性乳腺炎
大浦 次の例は何でしょうか。
董和 昨年10月ごろ、私が京都のある薬局を訪問していたときのこと、そこに偶然、二十代の女性が相談にきました。
大浦 その方の症状は?

董和 急性乳腺炎を起こして二日目だということでした。微熱があり、乳腺が腫れて痛むというのが主訴でした。
大浦 それに対して、先生は?

董和 その場で「ツボ草を大量に食べてみてください」と言いました。でも、彼女は漢方薬草は苦手で、一日の目安量よりやや多いくらいを食べるのが精一杯でした。
大浦 苦地胆の方は?
董和 「これも合わせて食べれば、早く炎症が治まりますよ」と言ったのですが、それ以上はどうしても食べられないということでした。
大浦 無理はしなくていいですね。
董和 ええ。そのまま30分待って、「痛みはいかがですか」と尋ねましたら「あっ、大分楽になりました」と、喜んで答えてくれました。
大浦 その後は?
董和 それから毎日、目安量を食べつづけて、結局、10日で治ったという連絡をいただきました。
大浦 苦地胆を併用していたら、もっと早く解決したかもしれませんね。
董和 一週間かそこらで良くなっていたと思います。

下肢静脈瘤
大浦 静脈瘤の女性が増えているようですが、こういう時には先生は何を使われるのでしょうか。
董和 今年の春、その体験例をいただいたばかりです。静脈瘤は、特に下肢の静脈が拡張し、血液が滞るために起こるものです。色素沈着をおこして美容的に問題になりますし、下肢のだるさ、こむらがえりなどの身体症状のほか、進行すると皮膚潰瘍を起こしたりします。
大浦 その症例というのは?
董和 鹿児島県のある薬局の先生から、ご報告いただいたものです。
大浦 患者さんは何歳ぐらいの人ですか。
董和 68歳で、色黒、太りぎみの女性でした。今年の三月中旬、左太ももの内側が広く(幅10㎝、長さ20㎝)赤くなっており、触ると熱感があり、膝下には静脈瘤が瘤のようにあり、ときどき痛みがありました。
大浦 その静脈瘤が…。
董和 何かの原因で炎症を起こし、膝上にまで及んできて、痛みがひどくなってきました。病院へ行ったら「二日後に手術をします」といわれたと言って、その薬局へ来られたそうです。
大浦 その薬局の先生は何を処方されたのですか。
董和 とりあえず、ツボ草を目安量の二倍と骨砕補植物を目安量、合わせて食べるように勧められました。
大浦 結果はどうでしたか。
董和 二日目には熱感が薄らぎ、痛みもほとんど無くなりました。手術も寸前で免れたということです。
大浦 最終的には?
董和 はじめの十五日間は二つの併用を続けましたが、それ以後は炎症と痛みが取れるまでということで、ツボ草のみを目安量で十五日間食べてもらいました。それで静脈瘤は消失したそうです。
大浦 静脈瘤がそんなに早く消失したのですか!

田七人参、白花草
大浦 ところで、静脈瘤が長くなると潰瘍性炎症を起こすことがありますね。
董和 それを防ぐためにも「炎症止め、化膿止め、痛み止め」の作用があるツボ草を選ぶことは最適の選択だと思います。
大浦 痛みと炎症ならツボ草だけでも対応できると思いますが、先の先生ははじめに骨砕補植物も合わせて用いられています。どうしてでしょうか。
董和 私も不思議に思って尋ねてみました。すると「この患者さんは、日頃から足や腰の痛みを訴えていましたので」という答が返ってきました。骨や関節の障害が予想されるときは、骨砕補植物を併用されるのが良いですね。
大浦 静脈瘤の皮膚潰瘍などに対して、ツボ草と合わせて摂った方が良いというものはありませんか。漢方的には静脈瘤は瘀血に分類されますね。
董和 田七人参やカザンコウは、静脈瘤で滞った血流を改善する働きがあります。また白花草は、ツボ草と同様に清熱解毒、抗炎症の作用があり、こうしたものをいっしょに摂ると静脈瘤や、それに伴う潰瘍性病変の予防、改善に役立ちます。

神経痛・二題
大浦 その他に、ツボ草が奏功した例がありますか。
董和 神経痛については少し前(九月号)にお話ししましたが、最近も二つの例を体験しました。
大浦 まず一つ目は…。
董和 48歳の女性で中肉、顔色は普通でした。
大浦 どのような症状でしたか?
董和 雨が降る少し寒い日でしたが、左足(腰から足首に向かって外側)が痛くてたまらないと言って来ました。話をしながら、ストーブの前で左足を暖めて「痛い、痛い」と言ってさすっていて、とてもつらそうでした。
大浦 この方にはツボ草だけを勧められたのでしょうか?
董和 ツボ草を目安の二倍量と、ヘビエキスを通常の目安量、食べるように勧めました。三日ほどですごく良くなったということでした。
大浦 神経痛のような感じなのでヘビエキスを併用されたのですね。神経痛に対しては、先生は基本的にはヘビエキスを使われていますね。さて、もう一つの例は?
董和 60歳の女性で、やはり中肉、顔色も普通でした。
大浦 この方の訴えはどのようなものだったのですか。
董和 もともと体の痛みがあり、軽い神経痛にかかっています。運動不足もあり、忙しく働いた日には左膝の内側に激痛があります。ドクドクと脈打つような痛みで、突然痛くなり、30秒くらいで治まるが、また突然痛み出すということをくり返しているということでした。
大浦 この方には何を…?
董和 ツボ草を目安の二倍量、食べるようにお勧めしました。二日ほどで、ほとんど痛みがとれました。
大浦 この方のように、激しい痛みにはツボ草はいいようですね。

掌蹠膿疱症を疑った例

大浦 ツボ草を使われたもので、珍しい例もあったそうですね。

董和 掌蹠膿疱症を疑われた例です。23歳の男性で、大阪の薬局の先生が経験された例です。
大浦 どのような症状だったのですか。
董和 二年前から左右両方の肩~鎖骨~前胸部にかけて激痛がありました。それと同時に腰の痛みもあり、長く悩んでいたそうです。
大浦 その間、何か治療はされていたのでしょうか。
董和 整骨院やカイロプラクティックに何回も通ったけれど効果がなく、鎮痛剤ももらったがさほど効果がない。しかも続けると胃がやられるので、最近は我慢するしかなかったということです。
大浦 掌蹠膿疱症が疑われたのはどうしてですか。
董和 まだ手のひらなどに症状は出ていませんでしたが、胸鎖関節(胸骨-鎖骨の関節)仙腸関節(仙骨-腸骨の関節)の炎症は掌蹠膿疱症によく見られるものですから、掌蹠膿疱症を疑いました。肩などは手を触れるだけでも熱く、炎症状態が伝わってくるほどだったそうです。
大浦 これに対してもツボ草を使われたのですか。
董和 激しい痛みですからツボ草を使うことを考え、それも多量に(通常量の二倍ほど)食べるように勧められた。そして30分~1時間しても痛みが軽減しなければ、また同じ量を摂り、それを一日三回まで行なってもよいと伝えました。よほど痛かったのか、その場で食べるというので、一回目はその薬局で食べて帰ってもらいました。
大浦 その結果はどうでしたか?
董和 三日後に電話があり、あの日、三回食べたら痛みが取れました、と告げたそうです。それから三日間続けて、肩の痛みは全くなくなりました。鎖骨-胸骨部分の炎症および腰痛はまだ残っていたそうですが、二年間に及ぶ肩の激痛がツボ草で取れたのは間違いのないことと思います。

ツボ草と骨砕補植物
大浦 最後に、ツボ草と骨砕補植物の違い、使い分けについて説明していただけませんか。
董和 これまで折に触れて述べて来ましたが、骨砕補植物は骨や関節の痛み、変形に良いものです。これは「補腎」の作用とともに、内臓機能全体を調整する働きがあるからで、骨粗鬆症や変形性関節症に対しては大きな助けになります。
大浦 ツボ草の方はどうでしょうか。
董和 ツボ草は、骨や関節の変形を改善する力は弱いですが、痛み止め、炎症止め、化膿止めの働きは優れています。それも骨や関節に限定せず、頭痛、歯痛、神経痛、生理痛、ガンの痛みから原因不明の痛み、炎症に対して、全身的に広く対応できます。
大浦 食べ方については?
董和 これも再三申しておりますように、痛みが激しく、早く鎮めたいというときは、一日分の目安量を一気に食べてみてください。そして一時間くらい経っても、まだ痛みがあるときは、もう一度同じ量を摂ります。
大浦 それでも治まらないときは?
董和 これを一時間おきに、痛みがとれるまでくり返します。この食法でほとんどの痛みが和らぐことが期待できます。
大浦 いずれにせよ、このように痛みに有効な食品があるということは、もしものときに強い味方になります。

本日はどうもありがとうございました。

(了)