董和先生に聴く
実証の痛み・虚証の痛み(上)
聞き手:大浦純孝 社長


大浦 今回は、董和先生ご自身が手のケガをされ、その回復に先生の創られた健康食品が大活躍をしたという体験をお話しいただくわけですが、ケガをされたのはいつですか。
董和 今年の7月31日のことです。
大浦 どのようなケガをされたのですか。
董和 私の不注意で、ガラス破片で左手の薬指を切りました。場所は薬指の先から二番目の関節(解剖学では近位指節間関節=PIPという)のところです。
大浦 かなり大ケガだったのですか。
董和 はじめはそうは思わなかったのですが、この指を曲げる二つの腱(浅指屈筋腱、深指屈筋腱)や神経が切断されました。この部位のケガは医学的には「ZoneⅡ部位の屈筋腱断裂」と呼ばれ、損傷後の指の機能回復は非常に困難で、「No Man’s Land」(神の領域)といわれています。
大浦 それはどうしてでしょうか。
董和 ここには浅指・深指、二つの屈筋腱があり、これが狭いトンネルのような組織(腱鞘)の中を通っています。腱ばかりでなく、これを包む腱鞘や神経、血管、皮膚などの組織も損傷しました。細密な治療が必要なのです。
大浦 治療はどうされたのですか。
董和 顕微鏡下での手術が必要で、準備が必要でしたので手術は8月5日に行なわれ、腱を縫合していただきました。
大浦 手術は順調に行なわれましたか。
董和 手術そのものは問題なく終りました。大変なのはその後のリハビリでした。
大浦 大変というのは、具体的には?
董和 手術した指を曲げたり伸ばしたりするのですが、これが非常に痛いのです。でも、指を曲げ伸ばししてリハビリをしないと、腱や腱鞘や周りの組織などが癒着して指が動かなくなってしまうのです。

早期のリハビリが大切
大浦 リハビリは手術後、どの時点で始められたのですか。
董和 この病院では早期の運動療法を採用していました。腱の癒着を防ぐには、できるだけ早期に手術した指を運動させ、腱と周りの組織の滑走をよくしてやります。ただ、これには大きなリスクがあります。それは縫合した腱を無理に動かすと、また切れるかもしれないということです。
大浦 縫合した腱は、どれくらい経てば大丈夫になるものですか。
董和 手術後二ヵ月くらい経つと腱は切れにくくなり、三ヵ月経つと頑丈になるそうですが、それまで指を動かさないでいると癒着が進んでしまい、指を曲げることができなく(伸ばしたままの状態に)なってしまいます。
大浦 それで先生は早期にリハビリを始められた…。

董和 私が手術した病院では、手術した次の日からリハビリが始まりました。それは四六時中、指を動かして(曲げ伸ばし)癒着を防ぐという方法です。
大浦 その際、いちばんの問題が痛みだったわけですね。
董和 手術したばかりの指を、曲げ伸ばし、曲げ伸ばしするのですが、痛みに妨げられてなかなかはかどりません。また、リハビリの期間も長くて、手術してから治るまで三ヵ月以上かかります。この間の痛みをいかに制御するかが、リハビリの成果を大きく左右することになります。病院の先生の話では、ほとんどの患者さんが最後まで完遂できないとのことでした。

ツボ草に救われる
大浦 リハビリは一日何回くらいやるのですか。
董和 これは絶えずやらなければなりません。わずか10分休んだだけでも関節が固くなってしまいます。一日中、絶えずやっています。
大浦 はじめから痛みがあったのですか。

董和 手術後しばらくは何ともなかった(麻酔が効いていた?)のですが、術後、数時間後から大変な痛みが来ました。手術は昼に行われましたが、夜になって大変な痛みに見舞われました。鎮痛剤はもらえませんでした。
大浦 その痛みにどう対処されたのですか。
董和 実はこういうこともあろうかと、入院するときツボ草などのエキスを持参していました。ただ、手術後五時間ほどは飲食が禁じられていましたので、夕方になってから看護師さんに「棚の上のツボ草エキスを食べたいので水をください」というと「それは主治医の先生に聞いてみないとわかりません」と言って逃げられてしまいました。
大浦 では、飲まれなかったのですか。
董和 あまり痛かったので耐えられず、片手で蓋をあけて、ツボ草エキスを目安量の半分ほど、水なしで噛んで食べました。
大浦 痛みは取れましたか。
董和 30分ほどしたら、痛みが半分くらいになりました。そこでもう一度、同じ量を噛んで食べました。
大浦 それで痛みは治まりましたか。
董和 ええ、取れました。次の日は通常量の二~三倍を食べました。それで痛みは全く感じなくなりました。
大浦 激痛をツボ草エキスによって鎮痛剤なしで克服されたわけですね。
董和 そうです。そこで分かったのですが、痛みは徐々にゆっくりと消えるのではなく、ツボ草を食べて30分ほど後に、急にスッと消えていくことを実感しました。

効き目が落ちた…
大浦 ところで、手術後の後遺症の心配はありませんか。
董和 この手術の後遺症は腱と周りの組織が癒着を起こすことですが、毎日、指の屈伸運動を続けていれば腱が丈夫になり、後遺症は残らないということです。
大浦 リハビリは順調に進んでいますか。
董和 手術が終ってから毎日ツボ草エキスを食べつづけており、おかげで痛みは全くなく、お医者さんの指示どおりに指のリハビリを行なっています。
大浦 併用してツボ草の働きをさらに高めるには、どのようなものを合わせたらよいでしょうか。
董和 以前にもお話ししましたが、ツボ草には痛み止めだけではなく、炎症止め、化膿止めの効能もあります。これに田七人参などを合わせますと血流改善効果も高まり、手術後の傷の炎症を抑えたり、腫れを取るのに役立ち、癒着の防止にも効果があります。
大浦 ただ、その効果があまり長くは続かなかったようですね。
董和 そうなんです。激しい痛みをツボ草などのエキスで撃退でき、リハビリに専念できると喜んでいたのですが、嬉しい期間はあまり長くは続きませんでした。
大浦 と言われますと…。
董和 手術から二週間ほどたつと、ツボ草などのエキスの効き目が落ちてきて、効果の持続時間もだんだん短くなってきました。
大浦 どれくらいの時間になったのですか。
董和 はじめの頃は一日三回くらい食べれば一日中無痛状態でいられたのですが、エキスを食べて二時間くらいしか無痛状態が続かなくなってきました。ある日など、夜中の十二時にツボ草エキスを食べて寝たのですが、二時間後に激痛で目が覚めました。見ると指が棒のように太く腫れ上がっており、全く曲げることができませんでした。
大浦 それまで順調に経過していたのに、ある時期を境に効き目が悪くなったのはどうしてでしょうか。
董和 端的に言いますと、疲れがたまって体力が低下していたためではないかと考えられます。
大浦 それに関して少し説明していただけませんか。
董和 私は二週間前の手術以来、リハビリの疲れや睡眠不足があり、少し歩くのでも疲れを感じて、毎日、何度も横になりたくてたまりませんでした。疲れがたまっていたのだと思います。
大浦 それがツボ草などのエキスの効き目に影響を及ぼしているのですか。
董和 ええ。普通より体力が低下している場合、ツボ草などのエキスは痛みに十分な効果を発揮できないのです。

実証、虚証で違う
大浦 こういう状況を漢方ではどのように考えられますか。
董和 漢方の理論では、痛みは「実証の痛み」と「虚証の痛み」に分けられます。
大浦 それぞれについて説明をお願いします。
董和 まず、実証の痛みですが、これは体力があって痛みを伴うもので、「実痛」ともいいます。つまり病いの初期で、正気(体力、生命力の意)が損傷されていないときに現われる痛みです。
大浦 では、虚証の痛みは…。
董和 体力、生命力の低下があり、痛みを伴う場合で「虚痛」ともいいます。
大浦 虚証の痛みが起こるのは、どのような理由からでしょうか。
和 病いが初期の状態のときは、ほとんどが実証の痛みです。しかし実証の痛みが短い期間で治らず、病いが長引くにつれて正気(体力、生命力)が失われていきます。それに伴って体も実証から虚証へ移行していきます。
大浦 ツボ草などのエキスは虚証の痛みには効果が弱いことになりますか。
董和 ええ。実証の痛みには十分に効きますが、滋養強壮成分が少ないために、これだけでは効き目が弱い。滋養強壮のものと合わせて用いれば、虚証の痛みにも十分対応できます。
大浦 そうだとすると、虚証の痛みには市販の鎮痛剤もあまり効かないことになりませんか。
董和 そうです。薬は人体との相互反応によって効果を発揮するものです。体力の乏しい体は薬に対する反応が鈍く、効き目も落ちることになります。

胎盤エキス食品を併用
大浦 そこで董和先生も体力を高めようと考えられたのですね。
董和 私もリハビリで疲れて、体が虚証になっているからではないかと考え、ツボ草などのエキスに滋養強壮効果のあるものを合わせて摂ることにしました。
大浦 それはどのようなものですか。
董和 最終的に選択したのは羊の胎盤(プラセンタ)などのエキスです。これをツボ草などのエキスといっしょに食べることにしました。
大浦 なぜ、羊胎盤などのエキスを選ばれたのでしょうか。
董和 はじめは痛みから解放されたい一心で、私の創った健康食品のうち、滋養強壮効果のありそうなものをいろいろと食べてみました。やがてその中から四種類に絞り、最後に羊胎盤などのエキスに落ちついたというわけです。
大浦 それを併用された結果はどうでしたか。
董和 思ったとおりでした。これを合わせて食べ始めたら、背中がポカポカしてきて、体も元気になり、まもなく痛みは消えていきました。以来、約二ヵ月、順調にリハビリをこなしています。
大浦 先生の見立ては正しかったわけですね。この羊胎盤などのエキスの組立てには元になった漢方処方があるそうですが、その内容や効能については次回に詳しくお話しいただくことにします。