董和先生に聴く
骨砕補植物の話(上)

聞き手:大浦純孝 社長



大浦
 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

董和 おめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

大浦 今回は、これまでにも何度か話していただいた骨砕補(こつさいほ)植物について、改めてお話を伺おうと思います。というのも、骨砕補などの生薬は、人間医学社で取り扱わせていただいている董和先生の製品40種類の中でも、最もよく売れているものだからです。続けて食べていただいている方が数多くおられます。ところで、「骨砕補などの生薬」は製品化されてから何年になりますか。

董和 七年になります。お陰さまで、骨にかかわる病状のある方などに食べていただき、大変好評をいただいています。

骨砕補の仲間

大浦 そうですか。それにしても骨砕補植物というのは、まさに薬効そのものを現わしている名前ですね。それでは製品の主材となっている骨砕補植物から説明していただけますか。

董和 骨砕補植物というのは亜熱帯地方に自生しているシダ植物で、岩や樹木の表面に生えるウラボシ科のハカマウラボシなどの根茎です。毛状の形から毛姜(もうきょう)あるいは猴姜(こうきょう)胡猻姜(こそんきょう)などとも呼ばれています。葉の長さは25㎝から120㎝に及ぶものまであります。

大浦 そういえば、三年ほど前になりますか、先生と中国の桂林に旅行させていただいた時に、桂林からもう少し山奥に入った所で、木造の小さな舟で川下りを楽しみましたね。その途中で、休憩した場所の樹木の表面に生えている骨砕補植物を先生に教えてもらいました。あの時、骨砕補植物を数多くみましたが、結構大きなものでしたね。

董和 そうでしたね。骨砕補植物には、同じ名前でも違う種類の植物がたくさんあります。その中で、生薬に使用している骨砕補植物は主に槲蕨(こくけつ)で、和名をバカマウラボシといいます。これは、味は苦く、温性(体を温める性質)です。もちろん毒性はありません。

大浦 生薬の煎じ薬で用いる骨砕補植物と同じものを使われているわけですね。

董和 その他にも、和名が「シノブ」といわれる「海州骨砕補」や、和名が「キクシノブ」(常磐シノブ)といわれる「白毛骨砕補」などがあります。シノブとキクノシノブは、形がよく似ているので見た目だけでは区別がむつかしいです。

大浦 どこを見れば見分けられますか。

董和 根茎についている毛の色によって見分けることができます。茶色の方がシノブで、白毛の方がキクシノブです。

大浦 これらは日本でも見ることができますか。

董和 この二つは、日本では観賞用植物として栽培されていて、各家の庭や庭園などで見かけます。また夏には、いろいろな形にして風鈴を付けて、玄関や軒先などに吊り下げられているのを見かけます。

大浦 そういえば、夏になると園芸店などでもよく見かけますね。

董和 このシノブとキクシノブにも、骨砕補植物と同じような効果があります。

大浦 どのような効果があるのですか。

董和 シノブは温性なので体を温める作用があり、冷え症に効果があります。キクシノブは逆に涼性で体を冷やす作用があり、暑がりの体質に効果があります。


骨砕補植物の作用

大浦 それでは、主材となっている骨砕補植物には、どのような効果があるのか、教えてください。

董和 骨砕補植物は、骨や筋を修復する作用があり、骨折や骨の痛みがあるときに使います。そのほか、活血(血流をよくする)や止血の作用もあります。

大浦 中国には、骨砕補植物を使った漢方処方がたくさんあると思いますが、一つ紹介していただけますか。

董和 たとえば「骨砕補散」という処方があります。これは骨砕補、自然銅、虎脛骨、炙亀板、没薬の五種類の生薬を粉末にしたものです。これを一回3g、一日に三~四回服用すると、筋肉や靭帯の損傷、骨折による激しい痺痛などに効果があります。

大浦 煎じ薬ではなく、粉末でも効くのですね。激しい疼痛に用いるということですが、それは虎脛骨や没薬と同様に、骨砕補そのものに鎮痛作用があるからですね。骨砕補植物はその他にどのようなときに使うのですか。

董和 中国の『泉州本草』という書物の中に「単味で酒に浸けて服用し、また骨砕補の粉末を局部に塗布して、打撲の傷を治療する」と記載されています。骨砕補植物には活血、止血、筋や骨を修復する作用があるといわれています。捻挫や打撲による消腫(腫れを消す)鎮痛効果もあります。

大浦 先生ご自身も、骨砕補植物を使って怪我を治された経験があるそうですね。

董和 まだ中国にいた時のことですが、足の怪我を骨砕補植物だけで治したことがあります。新鮮な骨砕補植物をすりつぶして足に貼ったところ、わずか十数分で痛みと腫れがひきました。

大浦 かなり即効性があるのですね。

董和 これをきっかけに、怪我した人に使ってみましたが、同じように即効がありました。

「抗骨増生片」

大浦 骨砕補植物をすりつぶして貼ったところ、わずか十数分で腫れと痛みがとれたというお話は前にもお聞きしたことがありますが、じつに面白い生薬ですね。

董和 はい。その他に骨砕補植物は、骨粗鬆症や変形性関節炎にも効果があります。

大浦 先生は小さい時から、山に入って生薬を採取したりして色々な経験をされてきました。そういったことが、今にとても役立っているわけですね。骨砕補植物は煎じても、粉末で内服しても効果があり、外用でも効果があるという生薬は珍しいですね。

董和 ええ。そのため多くの中国の製薬会社が、骨砕補植物を使って関節の軟骨の変形を抑制する「抗骨増生片(こうこつぞうせいへん)」という粒状の漢方薬を製造しています。

大浦 それは骨砕補植物だけからなる漢方薬なのですか。

董和 他に、鶏血藤(けいけっとう)、熟地黄(じゅくじおう)、鹿銜草(ろくがんそう)、淫羊蕾(いんようかく)、肉蓯蓉(にくじゅよう)、萊菔子(らいふくし)が入っています。

大浦 この処方にはどのような作用があるのですか。

董和 これら七種類の生薬からなる抗骨増生片には、補腎(腎の機能を高める)・活血・鎮痛の作用があります。

大浦 どのような症状の人に適する漢方薬ですか。

董和 中国では、肥大性の脊椎の炎症、頸椎症、踵の骨棘(軟骨が異常に増殖し、針状の骨のトゲが形成される)、変形性関節炎などに用いられ、大骨関節病にも有効とされています。

大浦 大骨関節病という病名は聞いたことがありませんが、どのような病気でしょうか。

董和 中国東北部や朝鮮半島、シベリアの風土病の一つです。骨端部の軟骨の変性と関節の腫瘍を特徴とした病気です。重症になると身長の伸びが止まったり、唾液腺ホルモンの分泌異常を起こします。

踵の痛みに

大浦 たまたま今日、踵骨骨端炎を起こしている人から相談があったのですが、おそらく「骨砕補などの生薬」が有効だろうと思い、これをお勧めしました。じっさい中国では、骨砕補植物を利用した製剤が踵の骨棘に使われているのですね。

董和 昔から使っていたようです。

大浦 でも、日本では生薬として骨砕補植物は生薬問屋で取り扱いがありますが、ほとんど使われていないのではないかと思います。こんなに面白い生薬が、どうして注目されないのか不思議に思いますが、さすが先生は目のつけどころが違いますね。

董和 ありがとうございます。

大浦 また、先生がつくられるものは医薬品とは違って健康食品ですから、どなたが食べられても大丈夫なように色々と配慮がなされているわけですね。しかも十分に効果が出るようにつくられているので、安心して多くの方にお勧めすることができます。

董和 骨砕補などの生薬は、骨の痛みを緩和するのに役立ちます。

大浦 痛みだけでなく、骨にかかわる様々な症状にもお勧めできますね。

董和 はい。骨の変形による頸椎症や、ぎっくり腰、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折などによる腰痛の予防や改善に役立ちます。また、四肢の変形性関節症に、よる痛みやしびれにも役立ちます。

大浦 長く食べ続けた方がいいのでしょうか。

董和 これらは長期間にわたり食べていただく方が、関節の炎症を抑えたり、関節の変形を(ある程度ですが)改善する働きが高まるといえます。安心して食べ続けていただけます。

大浦 次回は、骨砕補植物に組み合わされている各生薬についてお話ししていただければと思います。また、この度、骨砕補などの生薬の組み合わせが改められ、より効果的になったとのことですから、この点についても合わせておうかがいしたいと思います。

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