董和先生に聴く
骨砕補の話(下)

聞き手:大浦純孝


大浦 今回は「骨砕補(こつさいほ)などの生薬」についてのお話しの最終回となります。今回は関節リウマチについてお話ししていただけるのですね。

董和
 はい。骨砕補などの生薬は、骨にかかわる様々な症状の改善に役立ち、関節リウマチにもお勧めします。

大浦
 先生は中国ではリウマチが専門だったとお聞きしましたが、関節リウマチの原因はわかっているのですか。

董和
 現在のところ原因はまだはっきりとは解明されていません。ある特定の体質の人が内分泌(ホルモン)系に変化をきたしたり、ウイルスや細菌に感染することなどが引き金となって免疫異常が起こり発症すると考えられています。免疫異常により、免疫系が自分の体の一部を異物とみなして抗体を作り、自分自身の組織を攻撃します。その結果、関節の痛み・腫れ・炎症などが全身に起こります。


原因は女性ホルモン?

大浦
 日本ではどれくらいの患者数でしょうか。

董和 現在、日本全国で関節リウマチの患者数は、七十万人とも百万人ともいわれています。また、その数は人口の高齢化にともない年々増加する傾向にあります。

大浦 女性に多いと聞きますが…。

董和 四対一で圧倒的に女性の方が多いです。また、発症年齢は三十~五十歳代、とくに四十歳代が最も多いことがわかっています。

大浦 関節リウマチは自己免疫疾患の一つと考えられていますが、自己免疫疾患といわれているものは女性に多いですね。安保徹先生はその原因として、女性ホルモンが影響しているといわれています。たとえば、感染症にかかったりストレスを受けると、体はそれを治そうとして女性ホルモンのエストロゲンなどを分泌しますが、エストロゲンは強力な抗炎症作用をもっている一方で、コレステロール骨格をももっていることから、過剰に分泌されることによって酸化コレステロールが出来てしまう、これが問題だともいわれています。大量の酸化コレステロールは、血流障害と白血球の中の顆粒球の増加をもたらすので、活性酸素による組織破壊を促してしまうというわけです。安保先生はステロイド剤の多用による副作用についても、同じメカニズムで説明されています。エストロゲンもステロイドの一種なわけですから、当然かもしれませんね。女性ホルモンの問題は、治そうとする働きが勢い余って自らを傷つけてしまったということでしょうか。

董和 漢方の「陰陽理論」によると、女性ホルモンは「陰」の働きと似ています。陰は、体を冷やしていくものです。女性ホルモン分泌不足の更年期に「のぼせる」症状が現われるのはこのためです。逆に女性ホルモンが過剰に分泌されると、体は一層冷え、血流障害や関節痛などを発症しやすくなります。


免疫抑制疾患

大浦
 現代医学では関節リウマチは、リンパ球が強すぎて自分自身を攻撃してしまうということで自己免疫疾患の一つとして捉えています。ところが安保先生は、むしろ顆粒球が増加して、リンパ球が相対的に減少してしまった結果起こる免疫抑制疾患であるという考え方です。全く逆の考えですね。漢方ではこうした点については、どのように解釈されているのですか。

董和 先にも述べましたが、関節リウマチの原因はまだ解明されていません。「リウマ」とはラテン語で「流れる」という意味ですが、現在、自分自身を攻撃するリンパ球が、全身の関節や臓器に流れていき、あちこちの関節滑膜(かつまく)で暴れ、炎症を起こして痛みや腫れを生じ、皮膚、肺、涙腺、唾液腺などで皮下結節やリウマチなどの関節外症状を引き起こすと理解されています。漢方では、「風(ふう)」の病気とされています。風は、自然界にあちこち流れているからです。

大浦 そうですか。ただ自己免疫疾患が女性に多いとしても、女性ホルモンである性ステロイドが自己免疫疾患を増加させる要因なら血中ステロイドレベルがピークに達する年齢に病気が最も多くみられるはずですね。たしかに、全身性エリテマトーデスは日本では二十歳代の発症が多いですが、強皮症は四十五~五十四歳に、橋本病は閉経後の五十歳代に多く発症します。そして問題の関節リウマチは三十~五十歳に発症するものが多く、性ステロイドのピークとは必ずしも一致しません。なので、女性ホルモンだけでは説明しきれないような気がします。ある先生は「関節リウマチは“ちゃんと病”です」と言われていました。どういうことかというと、何事もちゃんとしなければ気が済まない性格の人が多いという意味だと思いますが、こういった性格というか精神的なことも大いに関係するでしょうね。

董和 私も、そう思います。単に女性ホルモンだけで説明するのは確かに難しいですね。それよりも女性の性格による影響が大きいと思います。女性は、男性よりストレスをかかえやすい性格があり、特に三十~五十歳の段階には、子育てや家庭、仕事などの面で一番忙しい、大変な時期なので、情緒変化も激しいですから、これも関節リウマチなどを発病しやすくする原因のひとつと思います。


【早期関節リウマチの診断基準(日本リウマチ学会)】
①3つ以上の関節で、指で押さえたり動かしたりすると痛みを感じる
②2つ以上の関節に炎症による腫れがみられる
③朝のこわばりがみられる
④皮下結節(リウマトイド結節)がひじやひざなどにみられる
⑤血液検査で赤沈に異常がみられる、またはCRPが陽性である
⑥血液検査でリウマトイド因子が陽性である
*上記の6項目のうち、3項目以上にあてはまる場合を早期関節リウマチとします


症状と対策

大浦
 では、関節リウマチの症状と、その漢方的対策について教えてください。

董和 関節リウマチは、初期の頃には倦怠感や食欲不振、体重減少、発熱などといった全身性の症状が先行してみられます。その後、朝の起床時に手足のこわばりや、手の指の関節に炎症が現われるようになります。

大浦 手指のこわばりは長く続くものですか。

董和 朝、起きて体を動かしているうちに、次第に取れてきますが、ひどくなると昼ごろまで続く場合もあります。こわばりの持続時間は、この病気の病勢を知る一つの目安となります。5分や10分のこわばりは他の疾患でもみられることがありますが、一時間以上続くようであれば関節リウマチの可能性が高くなります。

大浦 その他にはどのような症状が現われてくるのでしょうか。

董和 左右対称の関節に、炎症による腫れや痛み、しびれなどがみられます。例えば、右手首が痛い時は、同じように左手首も痛むという特徴的な痛みです。また、安静にしていても痛むという特徴があります。これらの症状は、よくなったり悪くなったりを繰り返し、徐々に関節の軟骨や骨が破壊されて変形が進み、最終的には体の機能がおかされていきます。

大浦 このような関節リウマチの症状の改善に骨砕補などの生薬は役立つのですね。

董和 はい。骨砕補などの生薬は、関節の痛みや変形に良く、食べ続けていると変形が改善することもあります。ただ、慢性になると「紫霊芝などの生薬」を併せて食べていただくと、いっそう有効です。これには野生紫霊芝のほか冬虫夏草、田七人参、黄精、白花蛇舌草など、合わせて十四種類の生薬を使用しており、抗炎症・鎮痛・瘀血改善などの作用がありますが、軽症の場合は骨砕補などの生薬だけでも役立ちます。


シェーグレン症候群

大浦
 じっさい人間医学社の会員の方で、ほぼ骨砕補などの生薬だけで関節リウマチが安定されている女性の方がおられます。紫霊芝などの生薬も併用された時期もありましたが、今は骨砕補などの生薬だけでも調子がいいのです。この方は、もともとシェーグレン症候群があり、それによる関節リウマチです。骨砕補などの生薬を中断すると痛みが出てくるので、今は続けて食べていただいています。

董和 シェーグレン症候群は、乾性角結膜炎、口腔乾燥症、関節リウマチの三つを主要症状とする症候群です。この病気は中年女性に好発し、涙腺と唾液腺を標的とする臓器特異的自己免疫疾患ですが、全身性の臓器病変を伴う全身性の自己免疫疾患でもあります。漢方の治療では良い処方がなさそうですが、紫霊芝などの薬草が良いでしょう。この病気は乾燥症状がひどいため、仙茅や黄精、西洋人参、亀の殻などを配合した「仙茅などの生薬」と併用するともっと良いと思います。関節痛があれば、骨砕補などの生薬も用います。

大浦 先生のお考えでは、紫霊芝などの生薬によって慢性的な炎症を鎮め、骨砕補などの生薬によって骨の変形の改善を図るのが、関節リウマチに対する基本方針になるということですね。

董和 関節の慢性炎症は、(風)の邪気が長年にわたって体内をあちこち流れることによって起こっているもので、一般的な薬草では効きません。紫霊芝や冬虫夏草で体力を支えて、田七人参などの活血生薬で血流を良くしてこそ、慢性の風の疾患を退治できます。骨砕補などの植物には駆風作用もありますが、主に関節の変形を改善する薬草といえます。


最大限のエキス含有量

大浦
 現代医学では、標準治療としてステロイド剤や免疫抑制剤が使われるわけですが、先生は以前に、ステロイド剤の代わりになるもので最も効果的なものが、この紫霊芝などの生薬だといわれていましたが、今でもそのお考えでしょうか。

董和 もちろん、その考えは今でも変わりません。紫霊芝などの生薬は、関節リユマチ・アトピー性皮膚炎・掌蹠膿疱症など、自己免疫病や悪性腫瘍の患者さんによくご利用いただいており、多くの方々から高い評価をいただいてきました。ステロイド剤の代わりになるもので最も効果的なものと信じています。

大浦 もともと紫霊芝などの生薬は、C型肝炎が慢性化して肝硬変や肝臓ガンに移行していくのを阻止するものとして開発されたものと理解しています。その後、アトピー性皮膚炎や関節リウマチ、間質性肺炎などステロイド剤が適応する厄介な病気に幅広く利用され、かなりいい結果がでています。なによりステロイド剤がもたらすややこしい副作用が無いのが一番です。ステロイド剤では、アトピー性皮膚炎も慢性関節リウマチも治ることはありません。あくまでも一時的に炎症を強力に抑える目的で使うものですから、慢性的なこれらの病気に長期に使うべきものではありません。むしろ、紫霊芝などの生薬のような副作用のない、それでいてステロイド剤的な働きをし、しかも体質改善作用があるもので対応すべきだと思います。ただ、大変高価な製品ですから、多くの人に使ってもらえないのがとても残念です。

董和 そうですね。確かに大変高価な生薬です。しかし、「霊芝胞子や冬虫夏草菌糸体などの生薬」を紫霊芝の代用品としてお勧めしてみたところ、軽い病症の場合にはよい結果が得られ、ひどい病症にはやはり紫霊芝などの薬草の方がよいことがわかりました。それで私は、最近は、病症のひどいときには紫霊芝などの薬草を用いていただき、病症が軽くなったら代わりに「霊芝胞子や冬虫夏草菌糸体などの生薬」を利用されるようお勧めしています。

大浦 骨砕補などの生薬といい、紫霊芝などの生薬といい、これらに類似した製品は他にありませんし、また真似ることもできません。先生だからこそ製品化することができたものと思います。今の日本はデフレの時代で、なんでも安いものが好まれますが、安ければいいというものではないと思います。先生が作られるものはエキス含有量が最大限に設定されていますし、貴重な天然生薬が数多く配合されている点でも、他社の追随を許さないところがあります。確かに製品は安価ではありませんが、でも専門家からみれば、よくこの価格で提供できるものだと驚かされるものばかりなのです。

本日はどうもありがとうございました。

(了)