董和先生に聴く
健康に良い薬草“熊柳”(Ⅰ)

聞き手:大浦純孝 社長

大浦 董和先生が約六年前に創られた「熊柳などの生薬」は、これまで慢性病や食欲不振、免疫力が低下した方など多くのお客さんに勧めてみて、大変良い健康食品だと感じています。これについては以前にもお話していただいたことがありますが、今回は改めて熊柳などの生薬について詳しくお話を伺いたいと思います。

董和 この熊柳などの生薬を製品化することができたのは大浦社長のおかげです。
平成十五年に、私は大浦社長から、現在の中国のガン治療はどのように行なわれているか、と尋ねられました。そこで私は、中国へ帰ったとき図書館へ行ったり、書店で本を買ってきたりして調べました。そこで分かったことは、今の中国のガンの治療法は以前のようにガンを攻撃するのではなく、体を滋養強壮して免疫力や自然治癒力を高め、ガンの住めない体にすることに重きを置いているということでした。

大浦 中国も以前は、手術や化学療法、放射線療法が中心の攻撃的な治療をしていたのが、今は見直されているということですね。

董和 そのようです。中でも、ガンを治療する上で最も重要な点は、食欲の有無です。中医学では「胃気が有れば生き、胃気が無ければ死ぬ」といわれます。食欲の有無は胃気の有無と同じもので、食欲があれば胃気があるということです。すなわち、食欲がある人は健康の回復が見込めますが、食欲がない人は回復が思うようにはかどりません。慢性病や難病の人、危篤状態の人でも同じことがいえます。

大浦 ガンや難病の治療には、食欲の有無が深く関わっているのですね。

董和 はい。そこで思い出したのが「熊柳」という植物です。これはクロウメモドキ科のつる性の落葉植物です。このことがきっかけとなり、熊柳などの生薬を創ることができました。


熊柳植物の働き
大浦 「熊柳などの生薬」の主材である熊柳と食欲はどのような関係にあるのでしょうか。

董和 私の故郷では私が小さい頃から、食欲を増進し疲れを防ぐ民間薬として有名でした。今でも町で熊柳を販売している薬草屋さんがあり、利用する人はたくさんいます。

大浦 食欲を増進すること以外に何か効果がありますか。

董和 熊柳には、フラボノイドに属する黄色色素のルチンとクエルセチン、植物油のβ-シトステロールなどの成分が含まれています。これらの成分により熊柳には抗酸化、血圧降下、抗アレルギー、止血、活血などの作用があり、健康維持や老化防止に役立つ薬草として用いられています。

大浦 日本でも熊柳は見ることができますか。

董和 日本にも熊柳はありますが、中国の熊柳とは違う植物です。日本の熊柳は、かきどおし(連銭草)と一緒に煎じて、胆石や腎臓結石などの石落しの民間薬として用いられているようです。その他にもいろいろの効用があるそうで、健康維持にお茶代わりに飲んでもよいとされています。

大浦 では、中国の熊柳はどのような薬草でしょうか。

董和 中国の熊柳は姫熊柳とも呼ばれています。漢方的に見ると、補気(気を補う)健脾(消化吸収機能の強化)化瘀解毒(古血を除き、毒を排泄)、さらに血流改善、抗酸化など、多くの作用があるとされます。中国では食欲不振、体力低下、免疫力の低下、精神病、ウツ病、生理遅延、無月経、生理痛、肝炎、リウマチ、腰痛、結核病などに使われています。また、中国の熊柳は小児疳虫にも大変効果のある薬草です。

大浦 小児疳虫について少し説明していただけますか。

董和 疳の虫ともいわれ、食欲が落ちて、元気がなく、ぐったりしているといった小児の慢性的な消化不良のことです。また、顔色が青白く、髪の毛が部分的に逆立っていたり、目つきがきつくて表情に明るさがないといった特徴などがあります。


補中益気湯と熊柳

大浦 この小児疳虫にも熊柳などの生薬はとても効果があるということですね。ところで、先ほどのお董和 東洋医学では、病気を診断するために、自覚症状や他覚的所見などを総合的に判別する「証」の他に、「気・血・水」という漢方独特の見立て方があります。人間の体は、この三つの要素が体内を循環することによって維持されると考えます。これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、体の不調や病気、障害が起きてくると考えており、これが漢方の根本的な考えになっています。

大浦 それぞれの働きはどのようなものですか。

董和 「気」とは、目には見えない生命エネルギーのことです。元気の気、気力の気、気合いの気などです。自律神経(体の機能を調整する神経)の働きに近いと考えられています。

大浦 日本には霊魂という言葉があります。西洋思想では霊と魂は分けて考え、霊はプネウマ、魂はプシュケーと理解されています。松浪信三郎という人は「プネウマはいき”“いぶき”“という意味をもつ語であり、そのかぎりで、いのちの根源すなわち生命原理を指し示す語でもある」と書いていますが、まさに霊というかプネウマというのが、漢方医学でいうところの気とほぼ同じなんでしょうね。
松浪氏はこうも書いています。「生きるを活用化したものであることは疑いえない。漢字であらわすならばがプネウマに最も近いだろう」と。どうも現代の日本人には目に見えないものだけに、気というものは分かりづらいところがあるようです。でも過去においては東洋思想も西洋思想も同じようなことを考えていたわけですね。気については今後も何度も出てくると思いますので、次の血と水について説明をお願いします。


「血」と「水」

董和 「血」とは、漢方でも血液とほぼ同じであると考えています。血の役割は、全身に栄養を送り、体を潤すことです。血が足りなくなると「血虚」といって、肌がカサカサに乾燥し、艶もなくなって、シワやあかぎれに悩むことになります。また、体の末端にまで栄養が行き渡らないため、爪が薄くなったり、白髪や枝毛が増えたり、冷え症に悩まされたりもします。

大浦 血の流れが悪くなって起こる瘀血もありますね。

董和 はい。瘀血は滞った部分の血が汚れ、痛みなどの症状が現われます。頭痛や肩こり、腹痛、生理痛などがよくみられる病症です。その他、全身にくすみが現われたり、目の下にクマができたり、鮫肌になったり、唇が暗赤色になったりすることがあります。

大浦 血の異常は、量が不足する血虚と、流れが滞って起こる瘀血が重要だということですね。以前に先生は、長く続く慢性病は瘀血の要素を考慮しなければならないと言われましたが、こうした病いに対する捉え方は、現代医学にはない独特の考え方ということができますね。

董和 そして「水」は、血液以外の体液全般に相当し、水分代謝や免疫システムなどに関わっているものとされています。

大浦 水と免疫システムとは密接な関係があるのですね。

董和 漢方では、健康な体を維持するためには、まず気・血・水の三つの要素が互いにバランスを取り合うことが大切だと考えています。その手助けとなるのが熊柳で、気・血・水の循環とバランスを調節する働きがあり、各種慢性病や難病の改善、そして健康的で長生きするために役立つ薬草としてお勧めいたします。

大浦 熊柳だけでも、さまざまな病気の改善に役立つのですね。次回は、熊柳に組み合わされている各生薬の働きなどについて説明していただくことにします。